菅野和夫『労働法の基軸』

 菅野和夫先生から、最近著『労働法の基軸-学者五十年の思惟』(聞き手 岩村正彦・荒木尚志)をご恵投いただきました。ありがとうございます。

労働法の基軸

労働法の基軸

 労働法学の泰斗である菅野和夫先生が、その生い立ちから今日に至るまでを、門下の岩村先生と荒木先生のインタビューに答える形で綴られた本です。大学生活から司法修習ののち、石川吉右衛門先生の招きで東大の助手になられた経緯はまことにPlanned Happenstanceそのものといえましょう。
 その後の、研究にとどまらず、教育、学務、政策、労委での公務、学会活動、国際活動などの多岐にわたる分野における、それぞれに目覚ましいご活躍は、まさにある意味での「労働法学の五十年史」とも言うべきものでしょう。その幅広い活動を貫くぶれないintegrityには敬服のほかありません。
 私自身も、係長時代の1995年から今日まで菅野先生が主宰する政労使学の研究会に参加して勉強させていただき、その中で本づくりにも多少のお手伝いをさせていただいたことは、ささやかながら誇りとするところです。また、労働政策に深く関わっていた90年代後半から2010年くらいまでのさまざまな立法に関する部分については、多分に自分の力不足を再認識するという形ではありましたが、相当の感慨をもって拝読させていただきました。菅野先生と一門先生方の今後ますますのご活躍を期待したいと思います。