- 本文の内容
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- スリランカ情勢 人工島に経済特区
- 香港情勢 5月の行政長官選挙に不出馬
中国の経済支援には軍事進出の目論見も
日経新聞は8日、「人工島に経済特区 中国主導、再生託す」と題する記事を掲載しました。
スリランカの最大都市であるコロンボ沖の人工島で、中国の支援を受けた経済特区の整備が進んでいます。
金融機関が集積する近隣のシンガポール、ムンバイ、ドバイの隙間を埋める役割を目指しており、20年後の完成時には高級ホテル、高層住宅が立ち並び、外国人を含む8万人が居住すると想定されています。
中国はこのような形の投資を好む傾向にありますが、敢えて作る必要はないと私は思います。
中国の狙いは自分たちの金で作ったのだと占有権を主張するというものです。
過去にも、モルディブなど投資した島をだんだんと軍事用にも使い始めた例があります。
パキスタンのグワダル、モルディブ、スリランカのハンバントタ、バングラデシュのチッタゴン、ミャンマーのアキャブ(現シットウェ)は中国の真珠の首飾りと言われ、海軍の寄港地にするなどシーレーンとして中国が支配しつつあります。
経済的に助けてもらえているうちは良いのですが、ラオスやコンゴなどの国では中国への多額の債務が問題になってもいます。
スリランカはかつてセイロン島と呼ばれていて、紅茶、ゴム、ココナッツ、コメ、繊維が主産業です。
仏教国ですが、インドとのつながりが深いためヒンドゥー教徒もいます。
ヒンドゥー教徒が多いタミル人分離派との長い内戦があり、2009年に終結しました。
現在は株価、債券、通貨のトリプル安と、燃料・穀物価格高騰、それから政情不安で大変な状況です。
このような情勢の中で、中国に頼るべきかどうかは難しい問題です。
中国と距離を置くにしても、インドに頼ったところで投資は期待できません。
国家運営は非常にやりにくい状況です。
20数年前は日本とも強いつながりがあり、今もうまくやってはいますが、中国を前に存在感は霞んでしまっています。
中国による投資は善意の経済的支援ではなく、必ず軍事進出という魂胆があると私は思います。
中国の進出によって現地にも潤う人が出てくるのかもしれませんが、私に言わせれば習近平は支配的で棍棒外交を好む傾向が見受けられます。
それでも中国との関係を強化するのか、慎重に判断してほしいと思います。
また、日本企業の立場から見ると、この地域の国へ企業として投資することは控えるべきだと思います。
かつて日本ではラスト・フロンティアと呼ばれ、日本企業が多額の投資を行ってきたミャンマー。
加えて、カンボジア、ラオスを、私は「ASEAN劣等生」と呼んでいます。
これらの国には軍部が強く、政治的腐敗が蔓延しているという特徴があります。
人として支援するのは良いと思いますが、企業として資本投資するのは、少なくともコンサルタントの立場として私は推奨しません。
今後の香港政府は中国と同じ考え方になる
香港政府の林鄭月娥行政長官は4日、来月8日に実施される行政長官選挙への不出馬を表明しました。
選挙には、香港警察出身で民主派への厳しい姿勢で知られる李家超氏が出馬を届けたということです。
林鄭月娥氏は中国に支配、命令されて民主派を押さえつけてきただけで、本来は善意の人物だと私は見ています。
そうでないと、民主派からの豹変ぶりが理解できません。
在任期間中の5年間、我慢を重ねてやってきたのでしょうが、さすがにもうこれ以上は無理ということだと思います。
「家族の意向を重視」というのは、プライベートの生活を大切にするということでしょう。
一方の李家超氏は、警察出身で、民主化運動を押さえつける仕事に携わってきた人物です。
中国の覚えもめでたく、本家本元の弾圧派が立候補したというところでしょう。
議会も過半数でサポートし、対抗馬はもう出ません。
香港という地域全体は別として、少なくともこれから先の香港政府の要人は、中国と同じ発想や考えになると予想されます。
林鄭月娥氏の場合には中国の目が届かないところであれば話が通じる民主的な残滓があると私は淡い期待を持っていましたが、李家超氏にいたってはそれも全く期待できないものになってしまうでしょう。
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※この記事は4月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はスリランカ情勢のニュースを大前が解説しました。
大前は中国の一帯一路による債務負担が大きい国を挙げ、「中国の場合は経済進出だけでなく、将来的には軍事進出したいという魂胆があると考えられ、今後の動向を警戒する必要がある」と述べています。
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