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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

日本維新の会が公表した憲法に創設する「緊急事態条項骨子」が自民党案を超えて史上最凶。「人権制限」明記。自分たちの身分を保障する「国会の会期継続、衆議院の解散禁止、内閣不信任案等の議決禁止」新設。

2022年06月08日 | 野党でもゆ党でもなく第2自民党の悪党維新

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 今日、2022年6月8日に日本維新の会が公表した、憲法改悪の緊急事態条項案を見たら最悪なのですが、公表前に出された各紙が配信した共同通信の記事はこれだけです。

 日本維新の会は8日、憲法に緊急事態条項を創設する憲法改正条文イメージをまとめた。同日中に発表する。
 
 武力攻撃、内乱、大規模自然災害、感染症の大規模なまん延などで、内閣が緊急事態を宣言できると規定。
 
 私権制限も盛り込んだ。
 
 宣言下で衆参各院の出席議員3分の2以上の多数で、国会議員の任期延長と選挙期日の特例を定められると記した。
 
 宣言下で、内閣による緊急政令制定や財政上必要な処分を可能にし「合理的に必要と認められる範囲内での国民の自由、権利制限」も記載した。
 
 一方、内閣を統制する仕組みとして「国会の事後承認」や新たに設ける「憲法裁判所の審査」を併記した。(共同通信)
 
 
 
 
 この記事でも書いてあるように、維新の会の緊急事態条項案には人権制限の規定があります。
 
 しかも、これが非常に大雑把で
 
「緊急事態宣言は発せられたときは、その事態に応じ合理的に必要と認められる範囲において、国民の自由及び権利を制限し、又は義務を課することができる。
 
 この場合においても、基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない」(96条の6)
 
となっていて、これは自民党の出している2018年のたたき台素案をはるかに超えるどころか、2012年の自民党改憲草案をも超えていて、ナチスの全権委任法に匹敵します。
 
 自民党が今回の参院選で公約にしている改憲4項目のうち、緊急事態条項の部分が
 
「第73条の2
 (第1項)大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。」
 
となっていて、国民の人権制限や義務を課することについては直接には言わないように気を使っていることと比べると、維新の会の危険性はナチスそのものと言えるでしょう。
 
 
 
 
 維新の会の緊急事態条項では人権侵害し放題だという批判を予想して、維新の会は基本的人権を保障する規定にちょこちょこ書き込みをして見せました。
 
 たとえば、表現の自由を定める憲法21条の2項は現行憲法では、「検閲はこれをしてはならない」となっているんですが、維新の会は「検閲は絶対これをしてはならない」と絶対を入れていて、これは緊急事態宣言が発せられた後でも検閲はしないという意味だと解説しています。
 
 でも、もともと検閲は絶対してはならないというのは、今の日本国憲法の解釈でももはや判例も通説も一致しているのですから、もしそういうつもりなら、検閲は「緊急事態宣言が発せられても」これをしてはならないと規定しないとわかりません。
 
 しかも、表現の自由を規定する21条1項に対しては何も書き加えていないので、検閲さえしなければ、言論の自由も知る権利も報道の自由も集会の自由も制限し放題です。
 
 また、維新の会は「個人の尊重」やプライバシー権・名誉権・人格権を保障する幸福追求権が規定されている、基本的人権の総則的規定である13条に第2項を加え
 
「この憲法が保障する自由及び権利の本質的な内容は、いかなる場合においても、絶対に、これを侵してはならない」(13条2項)
 
と入れているのですが、これでは本質的な内容でないということになれば、基本的人権を制限し放題になってしまい、かえって逆効果。
 
 憲法学をまじめに勉強したことがないド素人が作った案文であることは明白です。
 
 
 
 
 
 そして、最高に笑止千万なのは、「身を切る改革」を看板にしている維新の会の改憲案では、96条の3で自分たち国会議員の任期延長の特則を定めたうえ
 
「緊急事態条項に基づく宣言が発せられている間は、国会は閉会とならず、衆議院は解散されない」(96条の4第2項)
 
と念を押して自分たちの身分を守る規定を明記しています。
 
 どれだけ自分勝手なんですか。
 
 さらに、野党でもゆ党でもない悪党たる面目躍如、維新の会の改憲案は政権を守るために
 
「緊急事態条項に基づく宣言が発せられている間は、衆議院は内閣の不信任又は信任の議決をすることができない」(同第3項)
 
となっていて、緊急事態条項に基づく宣言を内閣が出しておけば、内閣は絶対に安全が保障されるようになっているんですwwww
 
 よくもまあ、これだけ政府に有利な改憲案が出せたものだと呆れます。
 
 
 
 
 日本維新の会は自分たちの改憲案を詳しく解析する市民がいないように、この改憲案を日本維新の会のトップページではなくて、その下の政策のところでもなく、「政界のゴロツキ」こと足立やすし議員のツイートをリンクさせて、それで公表に変えています。
 
 実際、今足立議員のツイートをリンクしたページを見失って、わたくしもたどりつけなくなりました(笑)。
 
 そんなにみられるのが恥ずかしいなら、公表しなければいいと思うのですが、実際、現代社会の公党の改憲案としては最悪最低最凶の内容です。
 
 まさに、「日本一の悪党」日本維新の会ならではの悲惨な改憲案といえるでしょう。
 

 

 

 

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日本維新の会の改憲案はツッコミどころ満載なのですが、緊急事態宣言が出された後の政府の行為を事後的に違憲審査できる機関として、憲法裁判所を設けることになっているんです。

でも、具体的事件がなくても憲法判断ができる抽象的審査制の憲法裁判所を最高裁とは別に創設するだなんてって、今の憲法体系をひっくり返すような大改正をしないとできないことですからね。

要は、維新の会は、自分たちの緊急事態条項で人権侵害し放題になること、そして維新はその国民の人権侵害を救済する気なんてないと自白したようなものです。

現在の日本に暮らす法律家として、ほとほと呆れ、また戦慄しました。

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参院選の公約を発表する日本維新の会の馬場伸幸共同代表(右から2人目)ら=2日午後、衆院議員会館

防衛費増額、抑制的に 立民政調会長

 公約は「政権を担える政党として現実的な外交、安全保障政策を展開する」と強調。ウクライナ侵攻を続けるロシアが核攻撃の可能性を示唆したことを踏まえ、「核共有を含む拡大抑止に関する議論を開始する」と記した。
 憲法改正に関しては、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所設置の3項目に加え、9条への自衛隊規定を盛り込んだ。他国の武力攻撃や感染症のまん延などに対応するため、緊急事態条項の創設も明記した。

 

 

憲法を改正して「緊急事態条項」を設けることの賛否をNHKの世論調査で尋ねたところ、「賛成」と「反対」がいずれも40%でした。

NHKは、今月6日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは2191人で、55%にあたる1214人から回答を得ました。

大規模な災害やテロなどの緊急事態が発生したときに、政府の権限を一時的に強めたり、国会議員の任期を延長したりする「緊急事態条項」を憲法を改正して加えるべきだという意見があります。
これに対し、憲法を改正しなくても今の法律で対応できるという意見もあります。
憲法を改正して「緊急事態条項」を設けることの賛否を尋ねたところ、「賛成」が40%、「反対」が40%、「わからない、無回答」が20%でした。

 

 

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、自民党など改憲派は憲法に「緊急事態条項」を創設する必要性をこれまで以上に強調している。衆参の憲法審査会で意見を集約したい考えだが、野党第1党の立憲民主党は現行憲法で対応できるとして反対。緊急事態での国会議員の任期延長や緊急政令の是非など、多岐にわたる議論が続いている。(佐藤裕介)
 「緊急事態に関する憲法審としての考え方をとりまとめていきたい」。4月7日の衆院憲法審後、与党筆頭幹事を務める自民の新藤義孝氏は突然、記者団にこう語った。
 自民はウクライナ侵攻を機に、衆院憲法審で緊急事態条項創設の必要性に加え、議論の加速化も強調し始めた。党の改憲4項目の条文イメージに盛り込んだ大規模な自然災害時に加え「有事やテロ、感染症も対象にすべきだ」との声も上がる。ただ、緊急事態の定義は定かではない。
 論点の1つは、緊急事態が発生した時に、国会議員の任期を延長するかどうかだ。憲法は国会議員の任期を定めている。選挙ができないほどの大規模災害などが発生して任期満了になると、国会議員が不在になりかねない。自民は国会の機能を維持するため、任期延長の規定を書き込むよう主張。公明党に加え、野党の日本維新の会、国民民主党も前向きな考えだ。
 これに対し、立民は任期満了時に衆参の選挙ができなくても、3年ごとに半数改選される参院では半分の議員が残り、憲法に定められている参院の緊急集会などで対応可能だと主張。改憲は不要だとしている。

◆政府の権限集中 自民「盛り込むべき」 立民「立憲主義に反する」

 さらに対立が深まるのは、政府の権限集中と私権制限を認めるかどうかだ。自民党はいずれも憲法に盛り込み、内閣が緊急時に国会の関与なく法律に相当する「緊急政令」も制定できるようにするべきだと主張している。
 一方、衆院憲法審で立民の奥野総一郎氏は、ナチスドイツのヒトラーが緊急事態条項を乱用して独裁政権を樹立した経緯に言及し、「強権的な緊急事態条項は立憲主義に反する」と指摘。緊急政令は人権の制限にもつながりかねず「憲法の改正限界を超える」と批判した。
 自民は維新、国民民主の協力を得て合意を急ぎたい考え。ただ、憲法担当相として1947年の施行まで憲法制定に深く関わった金森徳次郎氏は「緊急勅令は国民意思を無視できる制度といえる」として、緊急事態条項を盛り込まなかった理由を説明した。立民は「改憲ありきの憲法審の運営に異を唱えていきたい」(小西洋之参院議員)と反対している。

 

 

参院選に向け、政策パンフレットを発表する国民民主党の玉木雄一郎代表=6日午後、衆院議員会館

 

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