映画「フクシマ50」が問いかける 政府のコロナ対応

映画試写会のあと開かれた記者会見。吉田所長を演じた渡辺謙さん、当直長役の佐藤浩市さんらが出席した。=4日、FCCJ 撮影:田中龍作=

 東電原発事故(2011年)を描いた映画「フクシマ50」の試写会が4日、日本外国特派員協会であった。

 「50」とは原発事故発生から5日間、福島第一原発に張り付き、最大の危機を乗り越えた、吉田所長以下50人の所員をさす。

 メルトダウンを起こした現場では、80~90mSv/hもの線量を被曝しながら、所員が命がけでベント作業にあたる。

 現場は死闘を繰り広げているのにもかかわらず、東電本店と官邸はトンチンカンな指示を出す。

 機構上、最高責任者であるはずの原子力安全保安院長は、経済学部出身で門外漢に近い。

 現場を分かっていないのは、今この国を覆うコロナ感染に対する政府の取り組みと同じだ。

 感染症の専門家でもないし、まして臨床医でもない官邸官僚が現場を指揮する。

佐藤浩市さん演じる当直長が最終シーンでつぶやく。「俺たちは自然の力をナメていたんだ。自然を支配したつもりになっていた。慢心だ」。=4日、FCCJ 撮影:田中龍作=

 日本政府はまたもや同じ失敗を繰り返すのだろうか。

 映画で当直長役を演じた佐藤浩市さんがいみじくも語った。

 「災害は負の遺産でしかない。でも起きたことを正確に伝えて自分たちに還元すれば、遺産になる」。

 東電の広告漬けになっていたマスコミはトラブルを過小評価して報道していた。それが積み重なって大事故を招いたのである。

 事故発生時、記者クラブのOBたちは東電持ちで中国旅行を楽しんでいた。

 今回のコロナ禍にあたっても、記者クラブは安倍首相の責任を本気で追及しようとしない。八百長記者会見が明るみに出ても、悪びれるようすはない。

 起きたことを正確に伝えなければ、事態の収束はできないし、またまた大災害を招く。

国会事故調の事情聴取を受ける菅直人氏。菅首相(当時)が原発に乗り込んだことで作業が遅れ事故を拡大させたとも言われている。=2012年5月、参院会館 撮影:田中龍作=

       ~終わり~

     ◇
安倍政権はコロナ災害を奇貨として、国民の基本的人権や自由を制限してくる可能性があります。

『田中龍作ジャーナル』は記者クラブメディアが役割を放棄した権力監視の役割を務めます。
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