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『現金給付10万円から解る貨幣の真実』(後編-1)』三橋貴明 AJER2020.6.2

    

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実体経済と金融経済 なぜ日経平均は下がらないのか?[三橋TV第250回]

https://youtu.be/rvl9T72RhR0

 

 二次補正予算が成立し、一応、2020年度のPB赤字が約67兆円に拡大することが確定しています(変な表現ですが)。

 なぜ「一応」なのかと言えば、昨日のエントリーで書いた通り、二次補正の予備費や「企業の資金繰り支援」が、正しい「政府の貨幣発行」として支出されるかどうか、今でも疑いの目で見ているためです。昨日の藤井先生の記事にもありましたが、財務省が、
「予備費10兆円は使い切るな」
 との圧力をかけてくることは、確実です。

 ともあれ、リーマンショック期、東日本大震災期(共に30兆円強)の二倍以上のPB赤字になることが(一応)決まっているのですが、当たり前ですが日本政府が70兆円弱の貨幣発行を実施したところで、国債金利もインフレ率も上がりません。

 一応、書いておきますが、個人的には「上がって欲しい」と思っていますよ。何しろ、十年以上も「デフレ脱却」のために戦ってきたわけですから。

 とはいえ、4月、5月の二か月だけで、日本のGDP(需要)が40兆円以上消滅した可能性が濃厚で、そこに昨年10月の消費税増税による需要消滅、20年1-3月期分、6月以降が加わるわけで、2019年10月から2020年9月まで、およそ100兆円の所得(生産=需要=所得です)が失われたと考えるべきです。

 というわけで、今後、第三次補正予算が組まれたとして、2020年度のPB赤字が100兆円に達したところで、「2019年9月を回復できるかどうか」だと考えます。

 ところで、政府の新規国債発行(貨幣発行)を増やしても、「国債金利暴騰!」「ハイパーインフレーション!」とやらにならず、センメルヴェイス反射に陥った破綻論者が懸命に巻き返しを図っていますが、事実は事実。

 そもそも、インフレとは「貨幣現象」ではなく、総需要の拡大に、供給能力が追い付かない場合に起きます。総需要が叩き潰されている現状で、日銀が国債無制限買取をしたところで、インフレ率が適切な範囲を超えて上昇するなどあり得ません。

 一人の人間としては実に情けないというか、恥ずかしい話ですが、実は人類は同じような論争を過去何百年も繰り返してきました

 経世史論の特別コンテンツとして、中野剛志先生にご講話頂いた「通貨論争史 イギリス編」が明日、リリースになりますが、我々人類は「貨幣観」や「インフレ」を巡る不毛な争いを、ひたすら続けてきたのです。

 しかも困ったことに、大抵は「間違った方」が勝つ。

 まあ、主流派経済学が貨幣観を間違えている以上、仕方ないのかも知れませんが、さすがに現状を受け、主流派も方向転換をせざるを得ないのかなあ、という記事。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
6月20日から評論家・中野剛志世先生の「通貨論争史 イギリス編」がご視聴頂けます。

 

ポストコロナはインフレかデフレか?は愚問 マネーの増加がインフレ率を高めるかは疑問

 コロナショックは、日本と世界の物価上昇率を押し上げることになるのか、それとも押し下げるのか、ということがしばしば議論される。物価全体、いわゆる一般物価上昇率は、この先かなり長きにわたって押し下げられる可能性が高いだろう。

 コロナショックが物価上昇率を押し上げると考える向きの根拠は大きく2つあるだろう。第一は、各国でとられている経済対策によって、財政収支が急速に悪化していること、さらに中央銀行が国債の買入れを拡大し、中銀当座預金と中銀バランスシートを急拡大させていること、の影響だ。こうした財政・金融政策の組み合わせは、中銀当座預金を中心にマネーを拡大させる。マネーの増加がインフレ率上昇につながる、との考えである。
 しかし、現金と中銀当座預金からなるマネタリーベース、銀行預金を含むマネーストック、そして物価上昇率の3者の関係は、90年代以降かなり薄れてきている。「インフレーションとはいついかなる場合も貨幣的現象である」というミルトン・フリードマンの説明は間違っている訳ではないが、少なくとも近年の状況は説明できていない。
 政府の財政拡張と中央銀行のバランスシート拡大というポリシー・ミックスを実施してきた、日本や他の主要国では、物価上昇率の下振れ傾向は変わらなかった。そうした状況が、コロナショックで一変すると考える根拠はないだろう。(後略)』
 
 いや、
「インフレーションとはいついかなる場合も貨幣的現象である」というミルトン・フリードマンの説明は間違っている訳ではないが」
 って、間違っているでしょう、普通に。

 というか、貨幣の定義って何でしょう? MB? MS? GDPとして支出されたおカネが「貨幣」であるという前提であれば、フリードマンの説明は正しいですよ。

 とはいえ、フリードマン自身が「インフレ率はMBでコントロールできる」と主張していたわけで、それがマネタリズムでしょう? 普通に間違っています。というか、過去七年間の日本の(いわゆるリフレ派の)社会実験で、間違えていることが「証明」されてしまいました。

 面白いと思うのは、記事を書いた木内登英氏(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト)は、恐らくですが「正解」を理解しています。 

 だからこそ、記事では、
「需給悪化による物価下落圧力が加わることで、基調的な消費者物価は、向こう2~3年はマイナスで推移することが予想される。」
 となっているのです。

 その上で、木内氏は、
「積極金融緩和などを通じて政策面から過剰に対応することは控えるべき」
 として、解決策として「構造改革を進める政策がより重要である」と、結論付けるわけです。

 いや、構造改革は国民経済の供給能力を「需要と無関係に」拡大する政策であり、デフレ期には敗者を生み出し、デフレを悪化させるだけでしょう?

 構造改革ではデフレ脱却できない(当たり前ですが)ことも、これまた日本の過去二十年超の「社会実験」が証明しています。それにも関わらず、結論が構造改革。

 そして、正しい政策、すなわち財政政策による政府の需要拡大については、決して触れない。(日本にデフレ脱却されると困るの?)

 主流派系のエコノミストの、典型的な「詭弁」と言えますが、今後は木内氏のような論調も増えてくるのでしょう。彼らにとって、金融緩和はどうでもよく、重要なのは構造改革、すなわち民営化、規制緩和により、特定の誰かのビジネスの利益を最大化することなのです。

 財政破綻論者に加え、木内氏のような構造改革主義者もまた、我が国のデフレ長期化、国民の貧困化、日本の衰退国化を推し進めてきました。

 今後、インフレが貨幣現象ではなく「総需要の不足である」という認識が広まったとしても、
「だからこそ、構造改革」
 という、破綻論同様に結論が決まった言論で政府の経済政策を歪めようとする輩が、次々に出てくることが予想されます。

 是非とも、「本質」を知って下さい。構造改革とは、そもそもがサプライサイドに着目した(デフレなのに・・・)デフレ化政策なのです。この手の構造改革論者も破綻論者と合わせて駆逐しない限り、我が国が「国民が豊かになる経済」を取り戻す日は訪れません
 

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