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「政治の本質ー中間組織の復活を」(前半)三橋貴明 AJER2020.8.9
    

 

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アメリカ「様」を見習え! 地方自治体の貨幣発行は可能だ [三橋TV第438回] 三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/mUtNiTXhsxE
 

 さて、そもそも貨幣発行とは何を意味するのでしょうか(わたくしは、この手の「定義」が大好き)。


 王様の貨幣を考えれば分かります。中世欧州の王様が、金貨、銀貨、銅貨、鉄貨、紙幣、あるいは瓦礫貨幣。媒体は何でもいいですが、とにかく貨幣を発行して、領民に支払いました。
 

 領民は自らが生産した財やサービスと引き換えに、王様が発行した貨幣を入手できます。領民の資産は、貨幣の額面分、増えます。
 

 財やサービスの販売ではなく、社会保障系でも構いません。王様が貨幣を製造して年金を支払った。年金受給者は、受け取った貨幣の額面分、資産が増えます。
 

 つまりは、民間の資産増(※純資産増ではない)こそが、貨幣の発行なのです。
「おカネが発行されれば、我々の手持ちのおカネが増えます」
 という話ですね。


 上記の定義に従うと、日本国内の「貨幣の発行者」は日本政府、日本銀行、市中銀行(預金取扱機関)の三者になります。


 日本銀行は日銀当座預金という「我々が使えない貨幣」を発行し、その後、市中銀行の求めに応じて、「我々が使える貨幣」である現金紙幣と「交換」します。


 市中銀行は、貸出(我々の借入)の際に、借用証書と引き換えに、銀行預金という非常に利便性が高い貨幣を発行します。
 

 そして、日本政府。日本政府が国債という「貨幣」を発行し、民間に支出をすることで、我々の「銀行預金」という「資産」が増えます。政府が国債を発行し、支出をすれば、我々の銀行預金が増える。昨年の、特別定額給付金が見事に証明してくれました。


 その上で、問います。
「政府が国債を発行し、支出し、我々の資産(銀行預金)が増える」
 と、
「中世欧州の王様が貨幣を製造し、支出し、領民の資産が増える」
 との間に、何か違いがあるのでしょうか? 貨幣の媒体(金属か、瓦礫か、紙きれか、デジタルデータか)の違いはありますが、本質的には「完璧に同じ」なのです。
 

 すなわち、日本政府の国債発行は、貨幣発行です。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

※要望多数につき、評論家・中野剛志先生 【通貨論争史:イギリス編】【通貨論争史:日本編】が再掲となりました。

 

岸田文雄氏 首相就任しても消費増税「当面考えない」財政出動の財源は「国債」
 自民党の次期総裁選に出馬を表明している岸田文雄元政調会長が4日、日本テレビ「ウェークアップ」に生出演。自身が首相になった際、当面は消費増税をするつもりがない考えを明かした。
 岸田氏は出馬にあたり、「コロナ対策『岸田4本柱』」として、数十兆円規模の経済対策を公約に掲げ、事業者向けには家賃支援給付金や持続化給付金を地域・業種を限定せずに実施。一般向けも給付金を標ぼうしている。
 これに対して、キャスターを務める野村修也中大法科大学院教授は「経済対策として納得してもらうためには財政出動が必要」として、財源や将来的な消費増税について質問した。
 岸田氏は、「財源は国債です。いまは国の危機です。家の大黒柱が病気になった状態なので、借金してでも病気を治さなければならない。いま必要とされているものには思い切って財政出動しなければならない」と語った。
 その上で「将来を見た場合に関しては、財政安定の見通しの安定をしっかり示さなければならない」としながら「ただ、消費税については触ることは考えてない。当面は考えない。まずはアフターコロナ時代においてしっかり経済成長を考える中で、成長の果実をどう使っていくのか、そこから始まっていく」と現状を維持する考えを示した。
 「消費税の減税、凍結」についての考えも聞かれ「触ることは考えていない」と述べた。』

 いいね! まさに、こういう議論を総裁選挙や、総選挙でして欲しいんだよ。
 

 岸田さん、貴方が本気で「国民を救いたい」と思っていることは、わたくしは疑ったことがないですよ。とはいえ、貨幣観が間違っている。
 

 だからこそ、
今は非常時だから、借金(国債)を増やしてでも、国民を救う必要がある(だが、将来的には・・・)
 となっているわけですよ。


 とはいえ、本エントリー前半の説明を読んで頂ければ、国債発行(および政府支出)は「借金」ではなく、単なる貨幣発行であることがわかるはずです。


 わたくしは、岸田前政調会長が「貨幣観」を修正すれば、それこそ池田勇人や田中角栄クラスの「大宰相」になると思っているのですよ。
 

 ちなみに、先に貨幣観を正した高市早苗前総務大臣が「パーフェクト」かといえば、もちろんそんなことはありません。


 高市前総務大臣は、三橋TVにおいてすら、
「日本は自国通貨建て国債を発行しているため、財政破綻しない」
「インフレ率2%達成まで、PB黒字化目標の凍結が必要だ」
 と、語っています。


 とはいえ、日本が自国通貨建て国債を発行しており、財政破綻がないならば、PB黒字化目標は凍結ではなく、廃止でよくね?
 消費税も、廃止でよくね?
 と、なりますよね。

 

 PB黒字化目標について廃止ではなく「凍結」と主張し、消費税廃止を口にしない時点で、実は高市前総務大臣も「不整合」なのですよ。


 しかも、高市前総務相は「安倍路線を引き継ぐ」と明言しています。それって、「要するに構造改革を今以上に進めること?」と、突っ込まれて当然でしょう。


 ちなみに、わたくしは別に岸田前政調会長や高市前総務大臣を責めたいのではない。現時点で、党内の政治的な理由により発言、主張が制限されてしまうことも、それはあるでしょう。


 とはいえ、今後上記の類の「議論」を進めてほしいと、心の底から願っているのです。高市前総務大臣も、岸田前政調会長も、双方が不整合、矛盾を抱えている。
 いいじゃないですか。議論すればいい。


 正直、どっちを「支持する」とか、どうでもいいですよ。いずれにせよ、菅よりもマシになることだけは、間違いないのですから。


「どっちを支持する。あいつは、過去にアレを言った。アレをやった。信用できない。裏切られる。また、騙されて」
 といった、ナイーブ(幼稚)な政治姿勢は、もうやめましょう。
 

 というか、「また裏切られる」系の主張をしている人に聞きたいんだけど、貴方は「絶対に他人を裏切らない」人間なわけ? 少なくとも、わたくしは違うよ。

 

 人間なんだから、間違えること、嘘をつくこと、裏切ること、普通にあるよ。当たり前でしょ? その人間が築いた「文明」なんて、この程度のものだよ。少なくとも、わたくしは自分がパーフェクトな人間ではないから、政治家にもパーフェクトは求めないよ。だって、同じ人間なんだから。

 

 我々が政策ではなく「政治家」を選ばざるを得ない以上、「また裏切られる」に決まっていますよ。この「不自由な環境」において、「よりマシ」な道を探らざるを得ないのが、間接民主制を採用している国民国家の有権者なのですよ。
 

 唯一、正しい道があるとすれば、我々「有権者」が正しい知見、知識を持つことです。厳密には、持つ有権者の割合を高めることです。


 そのためには、発言力が大きい政治家に堂々と「議論」してもらわなければならない。


 というわけで、わたくしは今回の「財政出動の競争 岸田文雄 対 高市早苗」という事態を歓迎しており、それ以外の面々(財政出動を主張するなら別ですが)は「邪魔」以外の何者でもないのですよ。

 

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