No. 1349 嘘の上に築かれた国-米国はいかにして豊かになったか(パート2d~2g)

嘘の上に築かれた国-米国はいかにして豊かになったか(パート2d~2g)

By Larry Romanoff

植民地化、労働、そして奴隷制

2d. 植民地化、米国スタイル

世界を植民地化することは複雑で難しい事業である。なぜなら、ほとんどの国は植民地になることを望んでいないし、外国からの侵略や国民の奴隷化に抵抗する傾向がある。そのため侵略して征服するだけでなく、従順でいさせるために国民の大部分を殺したり、拷問したり、恐怖を与えたりする大規模で強力な軍隊が必要になる。また植民地の富や資源を略奪するためのロジスティックを管理するために、植民地に移り住むことをいとわない大量の役人が必要である。もちろんそのためには莫大な資金と労力が必要となる。

また、通常あなたは植民地にいなければいけない。歴史的に見ても「不在の植民地主」になるのはかなり難しい。植民地の住民はすぐに忘れて従わなくなる傾向があり、あなたの権利より自分たちの権利に関心を持つようになるからだ。絶え間ない反乱を鎮圧したり、金や財宝の積み込み作業、アヘンよりも食料の栽培を好む利己的な農民、国民の奴隷化に抵抗する地方政府への対応など、大変な仕事である。しかし米国人はいつものように創意工夫を凝らし、世界を植民地化するための新しい方法を発見した。それは次のようなものだ。

* 有用な天然資源を持つ国を選ぶ

*自国への忠誠心を持たない、真の病的な殺人者を軍司令官の中から探し出す。

* CIAを送り込んで政府を不安定にし、クーデターを起こし、軍司令官を大統領に任命する。

* 十分な資金を提供し、無制限に武器や兵器を供給し、有名な「アメリカ大陸の学校(School of the Americas、SOA)」で新任の独裁者に民間人に対する拷問や抑圧の原則を教育する。

* 傀儡の独裁者に、自分は「終身大統領」に過ぎないことを明確に説明する。その期間とは米国企業による自国の資源の略奪を許しながら、地元住民を抑圧することに熱心であるかどうかで決まる。

* ホワイトハウスでくつろぎながら遠隔操作で、新しい「植民地」を管理する。

これは50カ国以上で見事に成功した。米国の多国籍企業や銀行家は、植民地で低い賃金を払って住民を事実上奴隷にし、すべての資源を輸出して、莫大な金持ちになるだけでなく、世界規模の巨大企業になることができたのだ。

スティーブ・カンガスによると、

このような米国政府が支援するCIAの作戦は同じ脚本に基づき繰り返し行われる。不運にも狙われる国には、様々な理由がある。米国のビジネス上の利益を脅かしているだけでなく、リベラルまたは穏健な社会改革、政情不安、リーダーがワシントンの命令を実行しようとしないことなど。多くの場合、脅威となるのは、土地改革、労働組合の強化、富の再分配、外資系産業の国有化、労働者・消費者・環境を守るためのビジネス規制などをしようとして国民に支持される人気指導者の台頭である。{48}

これを実行するためにCIAは「あらゆる手を使う。プロパガンダ、不正投票、選挙の買収、恐喝、性的陰謀、地元メディアで対立候補に関する嘘を広める、潜入、対立政党を混乱させる、誘拐、殴打、拷問、脅迫、経済的妨害、死の部隊、さらには暗殺まで」。米国は植民地化のテンプレートを作り、後述する悪名高い「アメリカ大陸の学校」でその戦術を教えている。米国の植民地化の実例をいくつか紹介したい。

2e. 所得格差の拡大

世界は何十年もの間、米国が世界で最も豊かな国であり、個人の富と国の経済的優位性が結びついているという考えに慣らされてきた。こうなった状況の原因は一般のメディアも時折取り上げたが、それは正確でも熱心でもなく、米国のプロパガンダ神話が混じっていた。

米国政府が経済的優位性を十分に認識し、それを絶対的なものだけでなく、相対的なものとしても追求していたことを知っている米国人はほとんどいないし、他の国でもほとんどいないだろう。少なくとも過去100年間、いやそれ以上の間「経済格差による支配」は米国の外交戦略に不可欠な要素であり、それに伴って軍事的・政治的な優位性も計画されていた。このような主張をすることはほとんど現実的ではないように思えるが、米国人は富と経済的優位性だけではなく、経済的格差も求めていたのだった。米国は、他国よりも豊かになりたいというだけでなく、他国を従属的な貧困状態に維持したいと考えた。そしてこの立場は、何十年もの間変わっていない。

1945年にメキシコで開催された会議で、米国は「米州経済憲章」{49} {50}を要求した。米国は、「経済ナショナリズムの害悪」と呼ばれるものを排除するために、「富のより広い分配をもたらし、大衆の生活水準を高めるための政策を包含する新ナショナリズムの哲学」を打ち砕くことを決めた。国務省関係者の説明によると、これは「ある国の資源開発の最初の受益者はその国の国民であるべきだと確信する」ラテンアメリカ人に対する米国の反発を意味していた。この姿勢を貫くために米国は、メキシコ憲法第27条が米国の石油会社に適用されないことを条件に、メキシコ政府を承認することに合意したのである。第27条は、メキシコの石油はメキシコの所有物であると定めていた。米国の立場を強力に推進したのは、ガルフ・オイルを支配していた一族の一員であるアンドリュー・メロン米財務長官だった。

2f. 1948年の米国経済至上主義に関する米国の考え方

1948年、米国務省の政策立案スタッフの責任者であったジョージ・ケナンという人物は、当時の極秘文書(PPS23、1948年2月24日)を発表し、米国の帝国政策の成功に必要なことを率直に評価した。その文書には、次のような記述があった。

米国は世界の富の約50%を持っているが人口は6.3%しかない。特に、アジア(そして中国)の人々との間でその格差は大きい。このような状況では、羨望と憤りの対象とならざるを得ない。これからの米国の課題は、このような格差を自国の安全保障を損なうことなく維持できるような関係を構築することである。そのためには、すべての感傷や空想を捨て、あらゆる注意を当面の国家目標に集中しなければならない。私たちは、今日、利他主義や世界への貢献という贅沢をする余裕があると自分自身を欺く必要はない。極東(中国を含む)のために、人権、生活水準の向上、民主化といった漠然としたそして非現実的な目標を語るのはやめるべきだ。私たちがストレートな力の概念で対処しなければならない日もそう遠くはない。理想的なスローガンにはなるべく邪魔されない方がよいのである。{51} {52}

こう述べたケナンの立場は少し解説する必要がある。彼は、当時の米国は中国のような国との間で特に大きな富の格差を持っており、その格差を維持できるような「関係のパターン」を米国は考案しなければならないと言っている。そしてそれは米国をこれらの国々と本質的に主従関係に置く、つまり永続的に相対的な貧困と従属的な状態を受け入れさせることを意味している。さらに言えば、このような「関係」は米国の支配を永続させることへの軍事的、経済的、政治的な脅威が決して発生しないような状況下で作られなければならない。

そして最後に彼は、米国は「感傷や利他主義、世界への貢献」といった人道的なナンセンスに溺れることはできないし、中国が人権や生活水準の向上といった高望みをすることは「非現実的な目標」であり、米国は「理想主義」に妨げられるべきではないと述べた。つまり彼は米国には他国を気にするような「贅沢」はできないし、極端な経済格差を維持してこそ米国が至高の存在であり続けることができるのだから、他国が発展して豊かになることを認めるような「欺瞞」はできないということだ。ケナンによれば、米国は、他のすべての国、特に中国のような国に対する経済的優位性を維持するという当面の国家目標に、どこまでも集中しなければならないのである。

読者はこのように赤裸々に語っていることに驚くかもしれない。しかし経済的、軍事的、政治的な覇権は、常に米国の最大の目標だったのだ。米国建国以来、米国がこのような世界征服を夢見ず、企てず、計画しなかったことは一度もなかった。そしてもちろん、他国の資源を略奪しながらその国を貧困のままでいさせることはこの計画の当然の一部だった。それ以外のことは何もなかった。米国政府が何十カ国もの国に独裁者を配置したのは運命や状況の偶然ではない。米国企業が自由に略奪できるように行われたことであり、これらの多くの国を政治的・軍事的に従属させ、その国の国民を貧困に陥れていたのである。

この意図的な計画は、公然と明確に語られることはほとんどなかったが、何十年にもわたって米国とその多国籍企業が行ってきた行動を見れば、それを疑う余地はない。ケナンの発言は、米国の権力者の間では常に暗黙の了解となっていたことを端的に表している。米国が世界銀行やIMFといった機関の設立に尽力したのもこのような理由からだ。これらの機関は、非西洋諸国の開発を刺激したり支援したりするためではなく、米国が世界経済の支配を維持するために必要な条件である未開発諸国の永続的な貧困と資源の自由な略奪を確保することを目的としたものだった。また、政治的・軍事的な支配を目指す中で、 米国は国際銀行家の世界支配計画のための道具として利用されていたことも重要である。この過程で米国は資源と富を蓄積していくが、IMFや世界銀行の資金調達メカニズムを通じて、最終的にはヨーロッパの銀行家がこれらの国々の土地やインフラの多くを所有することになるだろう。

このような状況下では、例えば中南米が2世紀にわたって米国の「友好、後援、援助」が続いた後でも200年前と同じように、現在もほとんどが貧しいままであることは驚くことではない。ブラジル、ベネズエラ、アルゼンチンなどの国々が徐々に豊かになっているのは、米国の帝国主義とヨーロッパの銀行家のくびきを投げ捨て、米国が設置した独裁者を倒し、植民地主義の重圧から解放されて独自の発展の道を歩み始めたからである。

しかし米国がこのような状況を喜んで受け入れることはなく、今日でも、これらの国々の発展を妨げるために、巨額の資金、プロパガンダ、そして少なからぬ組織的暴力を用いてこれらの国々の内政に大規模な干渉を行っている。何十年にもわたって行われてきた多くの調査で、米国が常に世界で最も嫌われている国として挙げられているのは、決して意味のないことではない。

2g. 2010年の米国の経済的優位性についての米国人の見解

もしあなたが中国の指導者たちと話をしたら、10億人以上の中国国民が現在の米国人と同じ生活様式をしたら私たち全員が非常に悲惨な目に遭うことになるということにすぐ気づくと思う。地球はそれを維持できない、だからもっと持続可能な新しいモデルを決断しなければならないことをすぐに理解すると思う。

– 2010年にオーストラリアを訪れたオバマ米大統領{53}。

米国の標準的なシナリオが何も変わっていないことがわかるだろう。2010年の時点で、オバマ大統領の言っていることは、60年前のケナンの言葉と同様に完全に明確である。世界には豊かな国が1つだけ入る余地があり、その国は米国になるだろう。中国や他の国々は、米国が世界的な覇権を維持するために、国家的な希望や期待を減らし、永遠に貧しいままでなければならないことを受け入れなければならない、という米国の立場を赤裸々に語っている。オバマは許しがたいほど不誠実で利己的な言い訳として、「持続可能性」を巧みに利用している。彼の発言は大嘘である。中国が米国の支配下にない状態で高い経済成長を続ければ、米国の覇権と支配は維持できないと言っているのだ。したがって、彼によれば、中国は貧しいままでなければならない。神は米国人が世界を支配することを意図していたというのが、彼の立場を明確に正当化する理由である。

中国、インド、ブラジルなどの新興国が、私たちに代わって最大の炭素排出国となる道を歩むとしたら、それは持続可能な現実的アプローチではない……。

オバマ大統領が本当に言いたいのは、中国のような国が米国に代わって最大の炭素排出国になれば、世界最大の経済大国である米国にも取って代わり、米国は徐々に無用の長物になっていくということだ。だからこそ、中国の発展は米国の目には「持続可能で実用的」とは映らない。オバマ氏は最後に米国は中国に「国際的責任」を真剣に受け止めてもらいたいと述べている。つまり、米国を世界のリーダーとして受け入れ、米国人が金持ちのままでいられるように、貧しく未発達のままでいることに同意し、彼らの神が望んでいるように略奪と汚染を続けることができるようにするというのが、その責任なのである。

オバマ氏の論理は、中国人に西洋のシステムや価値観を取り入れることを要求しているが、米国人と同じ生活水準は認めないという、反吐が出るような、利己的で、不誠実で、利己的なものなのだ。彼によれば、米国は米国のモデルを維持するが、米国人の生活水準を下げることはない。したがって、宇宙の持続可能性と調和を維持するためには、中国人は貧しい米国人のクローンにならなければならないという帝国の布告である。パリの中国人学者Song Luzhengは、ブログで 「変えなければならないのは、中国のモデルではなく、西洋のモデルだ」と書いた。彼は、なぜ米国人は今まで持続可能なモデルを作らなかったのか、そして彼らのモデルは持続不可能であるにもかかわらず、なぜそれを普遍的な価値に基づくものとして世界に広めているのか、と問いかけている。

Notes:

{48} http://www.iraqtimeline.com/kangas.html

{49} https://www.encyclopedia.com/humanities/encyclopedias-almanacs-transcripts-and-maps/mexico-city-conference-1945

{50} http://www.thirdworldtraveler.com/History/Years_Hysteria_TGSNT.html

{51} https://www.counterpunch.org/2012/10/23/envy-and-resentment/

{52} https://legallegacy.wordpress.com/2017/02/24/february-24-1948-top-secret-memo-by-state-department-official-george-f-kennan-on-the-bane-of-altruism-as-a-u-s-policy/

{53} http://www.carstenburmeister.com/blog-president-obama-on-the-seven-report.aspx

EN — LARRY ROMANOFF — Nations Built on Lies — How the US Became Rich — Volume 1 – Part 2 — Colonisation, Labor, and Slavery