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『現金給付10万円から解る貨幣の真実』(後編-1)』三橋貴明 AJER2020.6.2

    

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実体経済と金融経済 なぜ日経平均は下がらないのか?[三橋TV第250回]

https://youtu.be/rvl9T72RhR0

 

 藤井聡先生が、第一次・第二次補正予算の新規国債発行57.6兆円ですら「張子の虎」になる可能性について警鐘を鳴らしています。

 メディアが絶対に報じない第二次補正予算の真相で解説した通り、第二次補正予算は財政規模を拡大したい与党と、抑制したい財務省との間で妥協が成立した結果の「玉虫色」になっている可能性が高いです。

 例えば、予備費が10兆円と巨額ですが、これは、
「緊急事態に備えて、自民党サイドが巨額の予備費を盛り込むことに成功した」
 という捉え方もできますが、同時に、
「10兆円の予算を通しても、実際には一円も支出しない可能性を残した」
 ことでもあるわけです。だからこそ、わたくしは「予備費について支出前提で議論するべき」と主張していたのです。

 あ、日本の財政の捉え方は、基本的には「財務省の都合が良いように動く」と考えるべきですし、大抵はこれで合っていますよ。希望的観測、楽観的な見込みはやめましょうね。悲観的に考えて、外れたならば結果オーライ、それはそれでいいでしょ。
 
 また、第二次補正予算の「企業の資金繰り支援」も、本当に劣後債の貸出なのか、つまりは返済不要とするのか、実際に支出されなければ分かりません。

「57.6兆円の新規国債発行! 安倍総理スゲーッ!」
 とはならないし、そんな甘い国ではないのですよ、我が国は。 
 
『京大・藤井教授「コロナ対策“58兆円真水”すら張り子の虎の懸念」

(前略)第1次補正予算で計上された“真水”の部分は、一律10万円の給付金や、中小企業や自営業者に給付する最大200万円の「持続化給付金」などが該当する。

 さらに、第2次補正予算では、「持続化給付金」の対象拡大のほか、最大600万円を支給する「家賃支援給付金」なども追加。
 その結果、真水部分は合計“約58兆円”と、過去の災害時などと比べても、最大のものになった。とはいえ、GDPの1割ほどで、安倍首相が言うGDP4割にはほど遠い……。
 京都大学大学院の藤井教授は「その真水でさえ“張り子の虎”になる可能性がある」と指摘する。
「たとえば第2次補正予算の“真水”は約32兆円と言っていますが、約12兆円分の『企業への資金繰り支援』は実質、融資であるため真水とは言えません。必ずしも返済が強要されない“劣後ローン”を使えば真水として機能しますが、適切に運用されるかは未知数です。約10兆円分計上された、使い道を決めていない“予備費”も、柔軟な判断にもとづいて支出されれば真水になりますが、財務省には『使い切るな』という声も根強い。現時点で真水になると確定している部分はわずか。予算執行が適切に行われているかどうか、しっかり見守り続けることが重要です」 (中略)
 藤井さんは、複雑な制度よりも消費税減税などで、消費を喚起したほうが有効だと説いてきた。
「しかし、安倍政権は消費税減税の議論さえしません。ある政府要人は、消費税を下げない理由として『上げるのに苦労したから』というナンセンス極まりないことを理由にしていました。国民のことを考えていないのです
 大切なことは政府の支援策をチェックして声を上げること。
 「政府は当初、2次補正はやらないと言っていましたが、さらなる経済救済を求める国民の声に押されて実現しました。私たち国民には政府を動かす力があるのです」
 自分の命や暮らしを守りたければ、無関心でいてはいけないのだ。』
 
 ところで、消費税廃止・減税への「反対論」に対する反論をご紹介しておきましょう。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
6月20日から評論家・中野剛志世先生の「通貨論争史 イギリス編」がご視聴頂けます。

 

1.消費税廃止は高所得者層が得をする
 
 応能負担や消費性向をすっとばしたおバカ理論ですが、この手の子供騙しにやられる人は少なくないでしょう。
 
 そもそも、税金を「税額」で考えるというならば、人頭税が正しいという話になってしまいます。となると、格差がひたすら極大化するため、税金は「応能負担」というわけで、「税率」で負担することになっているのです。

 しかも、消費税の場合は所得そのものではなく、「所得に占める消費」にかかる税金です。結果、消費性向(=消費÷所得)が高い低所得者層の方が、消費性向が低い高所得者層よりも「税率」が高くなってしまいます。 

 だからこそ、逆累進課税と呼ばれているわけです。
 
 つまりは、消費税廃止は「低所得者層の方が残る所得の割合が多い」のです。しかも、現金給付とは異なり、住所がない貧困層であっても恩恵を受ける。

 消費税廃止・減税に反対する連中は、「貧困者は死ねばいい」と言っているのも同然です。まあ、自己責任論が蔓延した我が国に相応しい愚かな連中とも表現できますが。
 
 ちなみに、東京財団政策研究所の土居の試算では、
●200万円の年収:消費税が10万円。税率5%。
●1500万円の年収:消費税が49.6万円。税率3.3%。
 と、確かに減税額は高所得者層が大きくなりますが、ならば「高所得者層は減税されたならば、さっさと消費に使え」と言えば済む話で、困窮している低所得者層を「救わない」理由にはなりません

 現金給付の際に、
「高所得者も受け取ることになる。だから「やらない」」
 と、狂った議論がありましたが、あれと同じなのですよ、結局は。

 「税額」を持ち出し、消費税廃止に反対している連中は、本人が意識しているわけではないでしょうが、財務省の飼い犬なのですよ。つまりはバカなの頭が弱いのです。
 
2.消費税は社会保障安定化の財源
 
 そもそも、消費税増税による増収分は、「当初から」八割がPB赤字圧縮(要は借金返済)に回ることが決まっていました。14年増税時は、実際に八割がPB圧縮に回り、19年も(減ったとはいえ)5割がPB赤字圧縮。

 もっとも、財務省としては、
「消費税収で社会保障「安定化の財源」とは言ったけど、社会保障の財源とは言っていない
 と、強弁をするでしょう。
 
 つまりは、PB赤字を圧縮し、黒字化すれば、財政均衡が達成でき、社会保障の財源を(税収で)確保できるという理屈なのですが、根底から間違っています。

 まずは、社会保障の財源など、必要に応じて税収や国債を組み合わせれば済む話です。国債を増やすと「国の借金が~」というならば、日銀が国債を買い取れば、はい、おしまい。

 あるいは、適切なインフレ率の下でGDPが拡大していくならば、税収が勝手に増えるので、国債依存を減らせばいい。ただ、それだけ。

 社会保障の「財源」など、政府が貨幣を発行すればいいだけですが、社会保障支出がされたとして、国民経済が十分な「供給ができるか否か」が問題なのです。わたくしは十年以上前から「これ」を言っていますが、昔は理解してくれる人が皆無だった。今は、どうかな?

 年金をもらっても、買える財やサービスがない。病院にいっても、もう医者がいない、看護師もいない、ベッドも足りない。国民が貨幣を使おうとしても、供給がされていない。これこそが、本来の社会保障の崩壊なのです。

 そして、財務省の緊縮財政は、日本の虎の子の供給能力を破壊することで、日本の社会保障の安定を突き崩していっている。

 とはいえ、「貨幣観」を間違えている日本国民が、上記の「当たり前のこと」を理解するのは難しいと思います。だからこそ、正しい貨幣論を国民に広めなければならない。

 経済について「カネ」ではなく「供給能力」で考えるように、早急に意識転換を図らなければなりません。さもなければ、財務省が考案する消費税廃止・減税「反対」のレトリックが勝利し、我が国の衰退はひたすら継続することになります。
 

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