Will the United States and Nato Wake Up …
… to What Happened at the Meeting of the Shanghai Cooperation Organization?
by Larry Johnson
今週、上海協力機構（SCO）の会合で何が起こったのか、ほとんどの米国人は見当もつかないだろう。それは、世界の人口の半分以上を占める国々がもはや米国に従属するつもりはないという明確な選択であり大胆な宣言である。出席者は、ロシア、中国、インド、トルコ、イラン、パキスタン、エジプト、サウジアラビアだった。
特に注目されるのは、ロシアのプーチンと中国の習近平の演説である。両国とも、米国とNATOがウクライナに武器を供給し、それが民間人への攻撃に使われているので、テロ支援国として扱われるだろうと米国に通告している。演説ではプーチンも習近平も米国やNATOを名指ししていなかったので、あなたはわたしが大げさに言っていると非難するかもしれない。しかし、ウクライナにおけるNATO同盟国の行動は、ロシアと中国の双方からテロ行為と見られている。以下、それぞれの演説の重要な部分を転載する。
ロシアと中国はまた、イランがもはやのけもの扱いされることはないという警告を西側に発している。イランはプーチン、習近平両氏からSCOのメンバーとして力強く歓迎されている。今後イランは、ロシア、中国、インド、ブラジルが組織する新しい金融秩序のもとでSCOの全加盟国とビジネスを行っていくということだ。
西側の同盟国にとってこれは衝撃的なニュースであることは間違いない。彼らは国際基軸通貨としての米ドルの優位性という贅沢を享受してきた。金を持つものがルールを作るという黄金律が働いていたのである。米国はジレンマに直面している。なぜなら米国の方針に従わない国や指導者に対して国際的な制裁を加えることに固執しているが、こうした制裁の反動が欧州経済を荒廃させ、米国も同様にダメージを受けることになるからである。
中国とロシアは米国がもはや信頼できるパートナーでないことに気づき、確信している。米国を過去に、癇癪を起こして他国を威圧し、無計画で愚かな軍事作戦を展開した短気な子供とみている。
最も重要なことは、言っていないが、SCOの指導者たちはワシントンが指導者不在であることに気づいている。バイデンは認知症の道化師だ。プーチンは記者会見でそれを実証した。プーチンにはもたれかかる演壇がなかった。誰に声をかけるかを指示するジャーナリストたちのカンニングペーパーも持っていなかった。そしてプーチンは知的に、即興で話した。彼の発言に注目してほしい。
習近平主席の演説は、SCOの将来について詳細に述べている{1}。
このような新しい状況の下で、SCOは国際・地域情勢における重要な発展を促進する勢力として、変化する国際力学に直面して自らをうまく位置づけ、時代の流れに乗り、連帯と協力を強化し、未来を共有する緊密なSCO共同体を建設すべきである。
第一に、我々は相互支援を強化する必要がある。ハイレベル交流と戦略的コミュニケーションを強化し、相互理解と政治的信頼を深め、安全保障と発展の利益を守るための努力を互いに支援する必要がある。我々は、外部勢力による「カラー革命」の企てを阻止し、いかなる口実であれ他国の内政干渉に共同で反対し、我々の未来を我々自身の手の中に置かなければいけない。
第二に、安全保障協力の拡大である。ウズベキスタンには、「雨が降れば大地が栄えるように、平和があれば国は繁栄を享受できる」という諺がある。中国が提唱する「グローバル・セキュリティ・イニシアティブ」は、平和の欠如と世界の安全保障上の課題に対処するためのものである。このイニシアティブは、すべての国に対し、共通、包括的、協力的かつ持続可能な安全保障というビジョンに忠実であり、バランスのとれた、効果的かつ持続可能な安全保障アーキテクチャを構築することを求めている。我々は、すべての関係者がこのイニシアティブの実施に関与することを歓迎する。
我々は、引き続き対テロ共同演習を実施し、テロリズム、分離主義、過激派、麻薬取引、サイバー犯罪、国際組織犯罪を厳しく取り締まるべきである。データセキュリティ、バイオセキュリティ、宇宙セキュリティ、その他の非伝統的なセキュリティ領域における課題に効果的に対処すべきである。中国は今後5年間にSCO加盟国の法執行担当者2000人を訓練し、テロ対策担当者を訓練する中国-SCO基地を設立し、SCO加盟国の法執行のための能力構築を強化する用意がある。
第三に、我々は日常的な協力を深める必要がある。地域のすべての国の人々により良い生活を提供することは我々が共有する目標である。中国が立ち上げたグローバル開発イニシアティブは、世界の注目を開発に集中させ、グローバル開発パートナーシップを育成し、より強固で環境に優しく、よりバランスのとれたグローバル開発を実現することを目的としている。中国は、他のすべての関係者とともに、地域諸国の持続可能な発展を支援するために、我々の地域においてこのイニシアティブを追求する用意がある。
第四に、我々は人と人との交流、文化交流を強化する必要がある。交流は文明間の統合を促進し、その結果、文明の進歩が可能になる。教育、科学技術、文化、保健、メディア、ラジオ・テレビなどの分野での協力を深め、青年交流キャンプ、女性フォーラム、人民友好フォーラム、伝統医療フォーラムなどの特徴あるプログラムの継続的な成功を確保し、SCO善隣友好協力委員会とその他の非公的組織が本来の役割を果たすよう支援する必要がある。中国は来年、中国-SCO氷と雪のスポーツ実演区を建設し、貧困削減と持続可能な発展に関するSCOフォーラムと姉妹都市に関するフォーラムを開催する予定である。今後3年間、中国はSCO加盟国に対し、2000件の白内障無料手術を実施し、5000の人材育成の機会を提供する。
第五に、多国間主義を堅持する必要がある。小さな輪の形成に固執することは、世界を分裂と対立に向かわせるだけである。国連を中心とする国際体制と国際法に基づく国際秩序を堅持し、人類共通の価値を実践し、ゼロサムゲームやブロック政治を否定すべきである。我々は、SCOが国連など他の国際・地域機構との交流を拡大し、真の多国間主義を共同で支持し、グローバル・ガバナンスを改善し、国際秩序がより公正かつ公平になるよう確保すべきである…。
中国はSCOの拡大を積極的かつ慎重に進めることを支持し、これにはイランを加盟国として認める手続き、ベラルーシの加盟手続きを開始し、バーレーン、モルディブ、アラブ首長国連邦、クウェート、ミャンマーを対話パートナーとして認め、関連申請国にそれにふさわしい法的地位の付与を行うことが含まれている。我々はこの機会を捉えてコンセンサスを構築し、協力を深め、ユーラシア大陸の明るい未来を共同で創造していく必要がある。
ここで、インドがSCOの次期議長国に就任したことに、中国は祝意を表したい。私たちは他の加盟国とともに、議長国であるインドを支援していく。
プーチンのスピーチは短く、要点がまとまっている{2}。
私は、私の仲間の発言や、彼らのSCOの活動に対する前向きな評価や国際情勢においてその威信が高まっていることに全く同意見である。実際、SCOは世界最大の地域組織となった。
しかし、私は、世界の政治と経済が根本的かつ不可逆的な変化を遂げようとしていることを繰り返し述べたい。新しい権力のセンターが果たす役割の増大がより鮮明になってきている。これらの新しいセンター間の相互作用は、外部の力によって強制され、誰も見たことがないようなルールに基づいているわけではなく、国際法の支配と国連憲章の普遍的に認められた原則、すなわち、平等かつ不可分の安全保障と、互いの主権、国家的価値、利益の尊重に基づくものである。
エゴイズムの要素を一切排除したこの原則に基づいて、SCO加盟国は政治と経済の分野で共同努力を行っているのである。これが政治、経済、文化、人道、その他の分野における継続的な互恵協力の広範な展望を開くものである。
テロリズムや過激派、麻薬取引、組織犯罪、非合法武装組織との戦いは、我々の協力の優先事項であり続ける。その他の重要な分野には、アフガニスタンを含む国境沿いの紛争の政治的・外交的解決に向けた支援の提供が含まれる…。
この背景で、ロシアは間違いなくイラン・イスラム共和国のSCOへの早期加盟を望んでおり、本日署名される文書と覚書は、それを達成するためのものである。イランはユーラシア地域および世界全体において重要な役割を担っており、その本格的な参加はSCOにとって有益であると確信している。
また、我々はベラルーシ共和国をSCO加盟国として承認するプロセスを開始するために首脳会議が承認申請した決定を全面的に支持する。ロシアの戦略的パートナーであり、最も近い同盟国であるベラルーシがSCOに全面的に参加すべきであると我々は常に主張してきたことを明確にしておきたい。これにより、政治、経済、安全保障、人道的な問題において結束を進める能力が向上することは間違いない。
過去において、米国はボールをコントロールし、競技のルールを決めていた。SCOの国々は、もはや米国にどこで、いつ、どのように競技が行われるかを左右されるつもりはない。自分たちでボールを持ち寄り、自分たちでルールを決めている。例えが悪くて申し訳ないが、これはPGAツアーがLIVゴルフ{3}というオルタナティブなプロゴルフツアーの出現にショックを受け、憤慨しているようなものだ。世界の舞台で新しい、潜在的により強力なプレーヤーが登場し、米国はピーナッツギャラリー（一番安い桟敷席）に追いやられ、見物を余儀なくされるかもしれない。
Links:
{1} https://thesaker.is/full-text-of-xis-speech-at-sco-samarkand-summit/