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「構造改革路線を改革せよ」(前半)三橋貴明 AJER2020.9.7
    

 

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貨幣観は間違っているが、国家観は正しい政治家 [三橋TV第440回] 三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/MaAvQ6Ltl3U

 信じがたい展開になってきました。
 少なくとも二人、自民党総裁選挙に出馬する政治家が、「グローバリズムの転換」を明確に表明しました。


 もちろん、細かいことを言えば「ええっ!」と突っ込みたいところはあるのですが、少なくとも両名の政策の「方向性」は、心から支持したいと思います。
 

 メディアでは、色々と「切り取り(切り貼りではなく)」で報じられていますので、今回は両名の政策発表のリンクを貼るにとどめます。

高市氏 総裁選出馬表明【ノーカット】
https://youtu.be/ZfYb9fC0yog

岸田文雄 政策に関する記者会見 第2弾
https://youtu.be/TwoHZwESt0Y

 双方ともに(質問を含めると)長いのですが、仕事上、全部、観ました。


 まずは、高市・前総務相の出馬表明。
 高市・前総務相は、「小泉政権以来の構造改革路線(新自由主義)を転換する」とは言っていません。(言える立場でないのかも知れませんが)


 とはいえ、長い、高市氏の政策説明において、グローバリズムのトリニティ、つまりは緊縮財政、規制緩和、自由貿易系の政策が一つもなく、特に前半はひたすら「政府の投資拡大」であった点は評価できます。
 

 高市氏は、日本経済強靭化計画ということで、「サナエノミクスの三本の矢」を提唱しています。


 三本の矢は、金融緩和、緊急時の機動的な財政出動、大胆な危機管理投資・成長投資とのことです。
 

 「財政出動が、何で緊急時の機動的な財政出動だけなんだ!」と、思われた方も多いでしょうが、元々の三本目の矢は「成長戦略」だったのです。
 成長戦略、つまりは「構造改革」です。


 安倍前総理が2012年に三本の矢を打ち出したとき、「成長戦略」は「イノベーションのための政府投資」だった。(そう、本人が説明していました)


 当時、わたくしは、
「あ、成長戦略とは言っても、要するに政府の投資拡大。つまりは財政出動じゃないか
 と、納得したのですが、自民党政権発足後は、「政府の投資拡大」が「構造改革」に変えられてしまったのは、皆さん、ご承知の通り。


 今回の高市氏の「大胆な危機管理投資・成長投資」とは、政府の投資拡大。つまりは、財政拡大です。危機管理投資には、もちろん防災投資拡大も含みます。

 防災投資については、十年で100兆円と、数字も述べていました。長期の予算について述べた点は、実に素晴らしい。


 要するに、高市氏の政策は金融緩和と「財政拡大」という二本の矢なのです。


 もっとも、高市氏は「消費税減税」について否定し、「給付付き税額控除」を代替案として出しています。


 給付付き税額控除とは、例えば納税額が十万円の人に十五万円の給付付き税額控除を実施する場合、差額の五万円が現金支給されるというものです。
 

 無論、やらないよりはやった方がいいのですが、「消費税減税・廃止」について現時点で否定するのは、意味不明です。何しろ、高市氏本人が、
「自国通貨建ての国債を発行している日本は財政破綻しない」
 と、主張しているわけです。日本が財政破綻しないのであれば、消費税減税や廃止について検討してもいいのではないですか?(岸田・前政調会長も、消費税については「手を付けない」と語っていますが)
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

※要望多数につき、評論家・中野剛志先生 【通貨論争史:イギリス編】【通貨論争史:日本編】が再掲となりました。

 

 対する、岸田・前政調会長。
 岸田氏は、何と冒頭から「小泉政権以降の新自由主義を改める」と、宣言。
 

 経済のためには「成長と分配」が必要で、成長しなければ分配できない。だが、分配が十分でなければ成長できないと主張(100%、賛同しますが)。


 さらには、財務省が激怒しそうな「財政単年度主義の是正」も標榜。新幹線をはじめとする交通インフラの整備にも言及しています。
 

 岸田氏の発言や答弁からは、「経済成長による共同体の復活」という思想が感じられ、非常に好感を持ちました。


 ところが、岸田氏は相変わらず「財政規律」への配慮を示しており、PB黒字化目標には触れていません。いや、貴方の政策は素晴らしいと思いますが、PB目標を維持する限り、実現不可能でしょう。


 高市氏が「インフレ率2%達成まで、PB目標凍結」と謳っているのとは、対照的です。


 未だに、岸田氏は「貨幣観は間違っているが、国家観は正しい政治家」から脱却できていません。(変わりつつあるようには思えますが)


 また、岸田氏もアベノミクス三本の矢を継承すると表明してますが、「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」と、元々のアベノミクスで説明しています。


 いや、「小泉政権以降の新自由主義を改める」というならば、高市氏の三本目の矢「大胆な危機管理投資・成長投資」の方が、余程「小泉・安倍路線からの脱却」になっていますよ。何しろ、高市氏が提唱する三本目の矢は、単なる政府支出(投資)の拡大なのですから。


 ところで、興味深いことに高市氏も岸田氏も「経済安全保障」を重視し(やはり100%、賛同しますが)ているのは同じです。さらに、両者共に「金融所得課税」につても言及しています
 

 二人とも「(所得)1億円の壁打破」を訴えているにも関わらず、なぜか政策が「金融所得課税」
 

 そんな面倒なことをせずに、分離課税の廃止で良いじゃないですか。そもそも、配当金等の金融所得に分離課税が適用されていることが、わたくしに言わせれば「異常」なのです。


 まあ、上記はややわたくしの「私怨」が入っていることは認めますが、それにしてもここまで一気に事態が動くとは思ってもみませんでした。
 

 心の底から願います。


 自民党総裁選挙が、共に「財政出動」「改革から投資へ」を訴えている高市氏と岸田氏の「政策議論」になりますように。
 

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