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「地方自治体も貨幣の発行者になれる」(前半)三橋貴明 AJER2020.9.13
    

 

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「新自由主義の転換」のために岸田総理大臣の政策を点検する [三橋TV第452回]三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/TPo2JtqgKkY

 

 

 わたくし共は、2010年頃から「老朽インフラ」を問題視し、警鐘を鳴らしていました。理由は、コンクリ建造物の寿命はおよそ50年と言われているためです。


 高度成長期に建設された膨大なインフラのメンテナンス時期が到来したにも関わらず、政府は公共投資を増やさない。このままでは、かつてのアメリカのような「荒廃する日本」になってしまう! 


 と、主張し続けてきたわけですが、危機感は確かに共有されたものの、相変わらずの緊縮財政。老朽化インフラの問題は先送りされ続けました。
 
和歌山市の水道橋崩落の原因は? 専門家ら「管の老朽化や腐食」との見方示す 市は「わからない」
(前略) 和歌山市は、橋が崩落した原因については依然、わからないとしているが、5年前に耐震工事を行った業者などにこの日、話を聞いたところ、管が中央から真っ二つに折れていることから、耐震工事のミスなどではなく、管の老朽化や腐食などが原因と考えられるのではないか、という。
 また、水道事業にくわしい専門家も同様の見方をしている。
 水道事業にくわしい近畿大学の浦上拓也教授「真ん中から折れて、(折れたのが)結合部分でなければ、おそらく材質そのものの問題、完全に老朽化だし、管の内部が腐食して圧力のかけられた水流に影響を受けて、折れてしまったことになるかもしれない。あの管路が落ちてしまうと、(紀の川の)北部は断水になることが想像できたはずなのに、なぜ(生活用水の)浄水場を南部に集約して(水道管の)複線化とか、ほかの給水方法を検討していなかったのか。すごく残念」(後略)』

 和歌山だけの問題ではないでしょう。


 全国の橋梁数は約70万。うち、2023年に建設後50年を超える橋梁(2m以上)は17万1千に達します。(2033年には26万7千)。
 

 水道管の場合、全国の水道管総延長距離は約72万キロ。法定耐用年数である40年を超えた水道管は、すでに二割近い。しかも、水道管の交換ペースは「遅くなっている」のが現実です。


 日本の水道民営化は、典型的な「新自由主義」「レントシーカー」の勝利の事例です。


 21年7月5日、宮城県議会は、上下水道と工業用水の運営権を、20年間、民間企業に一括売却する議案を可決しました。事業を受託した運営会社の議決権株式は、「フランス」のヴェオリア・ジェネッツ社が51%を保有。まさしく「緊縮財政」「規制緩和」「自由貿易」の三点セットが揃った、典型的な新自由主義、グローバリズムのトリニティです。


 日本の水道民営化は、
「水道管が老朽化したから」
 という、奇妙奇天烈なレトリックで進められました。


 老朽化した水道管を交換するならば、政府が地方交付税交付金を増やせば済む話なのです。ところが、緊縮財政の安倍政権は、地方自治体の水道管交換事業を支援しようとはしませんでした。
 

 というか、支援してはならなかったのです。何しろ、政府が費用を出してしまえば、
「老朽化した水道管を交換するために民営化」
 というレトリックが使えなくなってしまう。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

※要望多数につき、評論家・中野剛志先生 【通貨論争史:イギリス編】【通貨論争史:日本編】が再掲となりました。

 

 未だに理屈が分かりません。なぜ、民営化したら老朽化した水道管の交換が進むのでしょうか。しかも、インフラ資産を自治体が持ち続けるコンセッション方式で。

 

 ビジネスの「利益」が目的である事業者は、水道管の交換というコストだけが出ていく事業に本気になるはずがないでしょ。


 要は、単純に「水道サービス」を民間ビジネスにしたいだけの話なのです。新自由主義者たちが進める政策は、単に「ビジネス」が目的であり、国民のためにははならない。彼らの「嘘」に騙されてはならないことを、安倍政権期の水道民営化が教えてくれます。

水道管交換の民営化「採算取れない」と業者辞退、大阪市「一から見直し」
 政令市で水道管の老朽化が最も進んでいる大阪市で、来年4月を目標に水道管交換事業を民間移譲する計画が頓挫したことがわかった。市の公募に応じた事業者2グループが9月、いずれも採算が取れないとして辞退した。全国の市町村に先駆けて水道事業を民間移譲するコンセッション方式を導入する試みだっただけに、他の自治体の動きにも影響を与えそうだ。(後略)』

 日本の水道管の老朽化率は、17,6%。今後二十年間で、全体の四分の一を交換する必要がありますが、今のペースでは全く追いつきません。


 というわけで、政府は交換を希望する自治体に「経営コンサルタント」を派遣し、「民間のノウハウ」を活用した水道維持や補修の「効率化」に取り組んでいるということですが、アホか!


 足りないのは、予算だよ、予算。
 

 大阪の事例を見れば分かるでしょ。水道交換事業の受注を検討した二社は、両社は「採算に合わない」という理由で辞退したのです。
 つまりは、カネの問題なのですよ。


 緊縮財政が続く限り、我が国はこのまま「荒廃する日本」に突き進んでいくことになります。
 

 荒廃する日本を将来世代に残したくないのであれば、緊縮財政を転換しなければなりません。そのためには、とりもとりあえず「PB黒字化目標の破棄」が必要なのです。
 

「「荒廃する日本」を防げ!緊縮財政転換!」に、ご賛同下さる方は、

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