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9月8日(水) 自民党政治を終わらせ、青年の声が届く新しい政権を(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、民主青年同盟の機関紙『民主青年新聞』第3095号、2021年9月6日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます、〕

 はじめに

 政治の機能不全と政府の統治能力の衰退が、今日ほど明らかになったことはありません。政治と政府が果たすべき最低限の役割は国民の生命と財産を守ることですが、新型コロナウイルスの猛威に直面してその最低限の役割が果たせなくなっているからです。
 しかし、このような政治の惨状はコロナ禍によって始まったのでもなく、菅政権になってからでもありません。国民と青年の暮らしや雇用の破綻、立憲主義や民主主義の破壊、議会政治とモラルの崩壊、政治や行政の私物化などは、第2次安倍政権が成立して以降、急速に進んできました。
 「安倍政権の継承」を掲げて出発した菅政権は、安倍政権が抱えていた「負の遺産」も引き継いでいます。この「安倍・菅政権」がどれほどひどい政権であったのか。改めて振り返ることで、来るべき総選挙での政権交代と「新しい政治」の必要性を明らかにしたいと思います。

 新型コロナ対策の大失敗

 新型コロナウイルスの全国的な感染爆発が続いています。全国の1日当たりの新規感染者は8月に2万人を超え、40都道府県でステージ4(爆発的感染拡大)相当となるなど、第5の波は以前にもまして大きなものとなりました。特に、デルタ株などの変異株は感染力が強く、若者なども重症化しやすいという特徴があります。
 病床利用率のひっ迫が深刻な状況となって入院できないケースも発生し、「自宅療養」する患者が7万人を超え、容体が急変して一気に重症化して死亡する事例も相次いでいます。救急車を呼んでも受け入れ先が見つからないケースも全国で発生するなど、まさに災害級の危機的な状況になりました。
 政府は8月17日に東京など6都府県に発令中の緊急事態宣言に7府県を加えて13都府県として期限を9月12日まで延長すること、まん延防止等重点措置も宮城や山梨など10県に追加適用して9月12日までとすることを決めました。このような新たな防止策が必要になったのは、これまでの対策が効果を挙げず、感染拡大の抑制に失敗しパンデミック(爆発的感染拡大)を招いたからです。
 安倍前首相は国民1人当たり2枚のマスクを配布したり、小中学校の一斉休校を打ち出したりするなど、思い付きで場当たり的な対策を講じました。まだ感染が抑え込まれていないのに旅行や外食を推奨する「GoTo キャンペーン」を前倒しして感染抑止の「日本モデル」を自慢しましたが、これらが全て誤りだったことは明らかです。
 菅首相も、PCR検査の数を増やさず、自粛や時短、休業に対する補償も不十分で、医療関係者に対する支援も遅れました。経済や五輪などへの配慮もあって感染防止対策に全力を注ぐことができず、緊急事態宣言下での五輪とパラリンピックを強行し、感染の拡大を招きました。
 このように、安倍・菅政権によるコロナ対策は大失敗に終わっています。その最大の要因は政権への信頼が決定的に欠けている点にあります。菅首相はコロナ対策の失敗を認めず、きちんとした説明によって国民との信頼関係を築こうとしていません。頼みのワクチン接種は進まず、さらに感染力の強いラムダ株が初確認され、出口が見えないコロナ禍の下で菅政権は迷走を続けるばかりです、

 暮らしと雇用の破壊

 新型コロナウイルスの感染拡大の下で青年の生活苦が高まり、貧困化も進みました。アルバイトなどの職を失った青年や学生は各地での「食糧支援」などで何とか食いつないでいるという深刻な状況になっています。その背景には、安倍前首相時代に実施された経済再建策「アベノミクス」の失敗があります。
 安倍前政権の下で、たしかに1万円前後だった株価は2倍以上の2万3000円前後に上がり、大企業の内部留保は45%も増え、数字上は名目賃金が上昇して雇用も改善されました。しかし、その内実は年金積立金の運用による人為的な株価引き上げで大企業と富裕層をもうけさせたにすぎません。
 デフレ克服の2%の物価目標は達成されず、少子高齢化も止まらず、労働人口は減り、実質賃金と可処分所得は低下し続け、非正規雇用が増えました。消費税が5%から8%へ、さらに10%へと引き上げられ、国民の暮らしと経済を直撃して貧困と格差を拡大しています。
 また、高齢化に伴う社会保障費を削り、生活保護費も連続的に引き下げてきました。年金、医療、介護なども削られ、コロナ禍のもとで医療体制の脆弱性と高齢者福祉の劣悪さが露わになったのはこのためです。労働政策でも高度プロフェッショナル制度を含む「働き方改革一括法」を成立させました。
 菅政権下でもこのような路線は「継承」され、今年の通常国会では高齢者医療費2倍化法案や病床削減推進法案などの法律が成立しました。コロナ禍によって飲食・小売業、旅客や運輸業などは大打撃を受け、廃業や倒産も相次ぎ、個人消費が低迷し、失業者が増えて長期化するなど、日本経済は大きな試練にさらされています。

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