SSブログ

1月21日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「3回接種率は1.3%の惨憺 経済を止めている岸田無策」

■飲みに行っていいのかダメなのか

 オミクロン株はワクチン2回接種では感染を防げないため、一度はワクチン接種証明書で行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」を停止するとしたが、自治体などから反発の声が上がると「一時停止を原則としつつ、知事の判断で適用も可能」と曖昧な指針になった。

 過度な行動制限で「経済を止めたくない」ということなのだろうが、これでは飲み会を自粛すべきか、時間内なら大手を振って飲みに行っていいのか、国民は判断に迷う。重点措置の対象追加を諮問した分科会の尾身会長は「人流抑制ではなく人数制限」とか言い出すし、とりあえず重点措置の適用追加を発表したというだけで、何をどうしたいのか、まったく方向性が見えないのだ。

 「感染防止も経済も、ということなのでしょうが、こんなメッセージ性のない対策では、重点措置の効果は期待できない。あまりに中途半端で、“アブハチ取らず”になりかねません。『ワクチン・検査パッケージ』の適用も自治体任せで、2回接種した意味がなくなってしまいました。それなら3回目の接種を加速させるかというと、それも欧米諸国に比べて遅れに遅れている。オミクロン株の脅威は諸外国の状況を見て分かっていたことです。日本だけは大丈夫と根拠もなくタカをくくっていたのか、岸田政権が感染爆発を想定して備えるということをしてこなかったツケが、国民に感染リスクとして押し付けられている。この政権は、2年間に及ぶ感染対策の教訓をまったく学んでいません」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

■マーケットも「NO」を突きつけた

 19日の東京株式市場の日経平均株価は、前日比790円2銭安の2万7467円23銭と、5カ月ぶりの安値水準で引けた。

 下落率は前日比2.8%で、ワクチン3回目接種率の倍以上だ。

 「感染防止のための重点措置のはずなのに、経済活動の維持も重視した中途半端な対策では効果が見込めない。オミクロン株は重症化率が低いといっても、感染者の母数が増えれば、医療崩壊が起きかねません。いまは感染防止を最優先にしないと、感染拡大を止められない上に、経済的にも大ダメージを受けるという最悪の事態になりかねない。賃上げどころの話ではなくなるし、お先真っ暗です。オミクロン株も自然にピークアウトすると楽観視しているのかもしれませんが、岸田政権は危機感がなさすぎます。重点措置を適用しても感染者数が減らなければ、ワクチン接種も進められない政府に不満の矛先が向かうでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 批判を恐れ、参院選まで失点しないよう安全運転に徹して何でものみ込む岸田の体質が危機管理では裏目に出る可能性がある。実行力が伴わない「口だけ政権」では、オミクロン株に対応できず、国民生活に支障が生じるのは確実だ。「やってる感」だけで経済を「止めている」のは岸田政権の無策ではないのか。それを見通したマーケットが「NO」を突きつけている。

nice!(0) 

nice! 0