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令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。

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三橋TV第214回【緊縮財政との戦いの天王山 我々は生き延びられるのか?】
 月刊日本2020年4月号に「危機を拡大させた緊縮財政」が掲載されました。

 以前、財務省の勝利条件(1~4)に付いて書きましたが、実は続き(完全敗北)もありまして、
 
1.プライマリーバランス黒字化目標を堅持し、経済対策は予備費と貸付等に限る(財務省の完全勝利)
2.国債を発行し、単発、少額、短期の経済対策を認める。具体的には一回限りの給付金、あるいはキャッシュレス決済ポイント還元の延長、拡大
3.国債を発行し、大規模な経済対策を認める。具体的には、休業補償、粗利補償、大規模給付金
4.国債を発行し、継続的、大規模、長期の経済対策を認める。具体的には、もちろん消費税廃止。(敗北)
5.PB黒字化を含む財政均衡化路線を完全放棄し、長期計画に対する予算コミットメントを認める(完全敗北)
 
 となります。(※上記はあくまで「現行法」が前提です、財政法四条・五条、財務省設置法第三条の改定が最終的なゴールであることは言うまでもありません)
 
 日本の高度成長期からバブル期までは、政治の力により「予算規模が示された長期計画」がありました。予算規模が消えたのは、例により橋本政権下の「第5次の全国総合開発計画 21世紀の国土のグランドデザイン」からです。

 ちなみに、財政法では、
「第十一条  国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。」
 とあり、複数会計年度予算は立てられません。が、計画において長期の予算規模のコミットメントはできます。

 例えば、
「今後十年かけ、総額300兆円の予算を使い、○○をしていく」
 ことを、長期計画に書き込み、政府がコミットすれば、企業側は「ああ、これだけ需要が増えるならば」と、設備投資、技術投資、人材投資を行い、供給能力が拡大していく。つまりは、国民経済が成長する。

 財務省は経済成長に必須の「長期の財政支出計画」を、親の仇のごとく嫌いますが、「長期の財政削減計画」は大好きです。すなわち、プライマリーバランス黒字化目標です。

 わたくしに言わせれば、経済が不確実である以上、長期の財政削減計画も、財政支出計画も、共におかしいのです。何しろ、経済環境は刻一刻と変わるため、「その時点の適正な財政」は事前に誰も予測のしようがないわけです。

 もっとも、長期の「財政支出」をコミットしない限り、企業に「将来の安定的な需要拡大」という認識を与えることができず、供給能力拡大を阻害します。とはいえ、供給能力の不足(インフレギャップ)が大きく、長期的な計画に逆らってでも、財政支出(=需要創出)を抑制した方が良い時期は、当然、あるわけです。要は、調整の問題です。
 
 それに対し、長期の「財政削減」計画は完全に意味不明です。高いインフレ率に苦しんでいるのでもない限り、長期的な財政支出削減計画は、国民経済に正の影響は全く与えません。つまりは、財務省が固執する長期の財政削減計画(PB黒字化目標)は、単純にイデオロギーの産物だということです。
 あるいは、長期の財政削減計画は、人間で言えば「自殺」に該当します。

 日本は、イデオロギーに基づく「デフレ期の長期財政削減計画」が推進されているわけで、衰退して当たり前です。(もちろん、長期的な財政削減が規制緩和や自由貿易を推進し、レントシーカーを富ませるという理由もあるのですが、その辺は別の機会に)

 さて、現在、昨年10月の消費税増税から始まった令和恐慌、あるいは第二次政界恐慌の対策として、色々な「観測気球」が飛びまくっています。現時点では、あまり細かい中身の話でギャアギャアと騒ぎ立てるべきではないです(スピードの遅さは別。批判するべき)。
 
 最大の争点は、結局のところ、大規模給付金や損害補償は当然の話とした上で、
「PB黒字化目標を破棄し、消費税率0%を実現できるのか、否か」
 なのでございます。

 あ、ちなみに粗利補償や休業補償、大型給付金の決定は急ぐべきです。とはいえ、現在の報道を見ていると、財務省の、
「3の大規模(というか中規模)経済対策でお茶を濁すため、給付の中身を小出しにリークし、国民同士に争わせ(「何で、あの業界だけ優遇されるんだ!」等々)、総額を抑制したい
 という意向が透けて見えるのでございます。
 
 重要なのは、現時点で「決まっていない中身」で国民がルサンチマンをぶつけ合うことではなく、短期の対策(粗利・休業補償、大規模給付金)と長期の対策(消費税率0%)を十分な規模にすることです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※お待たせしました! 「歴史に魅せられて、myと辿る邪馬台国への道」の後編が視聴可能となりました。

 

『新型コロナ対策「リーマン時上回る規模を」 自公幹部
 自民、公明両党の幹事長・国会対策委員長は25日午前、都内のホテルで会談した。新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための経済対策について、リーマン・ショック後の56兆円超を上回る事業規模を確保するよう政府に求める方針で一致した。
  公明党の高木陽介国対委員長は会談後、経済対策の規模について記者団に「(政府による直接の財政支出の)『真水』も含めてリーマン・ショック時以上だ」と語った。自民党の森山裕国対委員長は「コロナ対策はスピードが大事だ。1時間でも早い成立が必要だ」と強調した。』
 
 ようやく「それっぽい数字」が出てきましたが、56兆円は「事業規模」であり、政府の財政赤字=貨幣発行=需要創出ではありません。実際の需要創出規模は、半分未満でしょう。

 現在の日本に必要なのは、最低、GDP比10%の財政赤字=国債(貨幣)発行による需要創出です。50兆円の財政赤字拡大が必要なのですが、うち、20兆円が「消費税率0%」の減税措置。残り30兆円が休業補償、粗利保障、大型給付金
 
 今後、財政規模の抑制を目的とした様々なプロパガンダが展開されることになります(もうされていますが)。その種の情報操作に踊らされず、「対GDP比10%の財政赤字=国債発行=貨幣発行=需要創出」を政府に求めて欲しいのです。

 とりあえず、「財政赤字=政府貨幣発行」という認識を国民に広めて下さいませ。この「事実」が前提にならない限り、おカネのプール論から逃れられず、すぐに財務省主導のルサンチマン・プロパガンダに騙されます。(そういえば、公務員給与削って消費税減税といった「おカネのプール論」を主張している国会議員がいましたね。あまりバカにせずに「事実」を教えて差し上げて下さい。)

 

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