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「経済産業政策の新機軸と経済学者の間違い」(前半)三橋貴明 AJER2020.6.29
    

 

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一般参加可能な講演会のお知らせ。

2021年7月17日 三橋経済塾第十期第七回講義 会場:那覇市

2021年8月1日 講演会(山形)のご案内

 

 

 先日の日米共同声明では、
海が日米両国を隔てているが、自由、民主主義、人権、法の支配、国際法、多国間主義、自由で公正な経済秩序を含む普遍的価値及び共通の原則に対するコミットメントが両国を結び付けている
 と、謳われ、
(※外務省の仮訳は「民主主義」となっていますが、「民主制じゃないの?」との疑問を持っていました。原文を確認すると、democracy だったので、やはり 民主制でした。何で、日本の役所(その他も)は民主制を「民主主義」と表現するのでしょうか? 民主制と民主主義は違います。民主制は「制度」ですが、民主主義は「価値観・主張」になってしまいます)
 G7サミットの共同声明でも、
開かれた社会及び経済として結束し、また、民主主義、自由、平等、法の支配及び人権の尊重という共通の価値に導かれ、我々は、世界中で新型コロナウイルスに打ち勝ち、全ての人のためにより良い回復を図ることにコミットする
(※恐らくこれも原文は「民主制」でしょう)
 と、宣言されました。(コミットとは、責任を伴う約束、という意味)


 もちろん、わたくしにしても自由、平等、民主制、法治主義、人権の尊重といった価値観が尊ばれる社会、国家で生きることを望みます。とはいえ、この種の価値観に普遍性があるかといえば、残念ながらそうではありません


 日米共同声明の方では、「普遍的価値」と書かれていますが、歴史的には違います。というか、わたくしは何らかの「普遍的な価値」を人類が持てるとは思っていません。「普遍的に近い価値」ならあり得るかも知れませんが、あくまで相対的な話です。


 自由(※共同体内で人生の選択ができること)、法の下における平等、民主制といった概念は、古代ローマから「欧州」で受け継がれてきたものです。さらには、人権に至っては、フランス革命です。


 特に重要なのが「民主制」ですが、議会制民主主義(厳密には議会制・間接選挙の民主制)は梅棹忠雄の「文明の生態史観」に従えば、ユーラシアの西と東、つまりは第一地域(西欧と日本)の「封建制」の延長線上にあるのです。


 そして、ユーラシアステップ周囲の第二地域(帝国)には、権力の分散(つまりは封建制)は発展しませんでした。というか、皇帝の権力を他の者に分け与えた日には、あっという間に内戦が始まるか、帝国瓦解です。

【梅棹忠雄「文明の生態史観」 概略図】



 というわけで、歴史的に見れば「民主制」は普遍的でも何でもありませんし、同時に昨日の「皇統」とは異なり「伝統」でもないのです。


 さらに言えば、特に「非常事態」が発生した際に、民主制はその「弱さ」を露呈する。


 同時に「帝国」的な国、いわゆる「権威主義」の国の政府は、非常事態への対応力が大きい。
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

リクエスト多数につき再掲載!

作家・古代史研究家 長浜 浩明【日本人はどこからきたのか?】【邪馬台国はどこにあったのか?】

https://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

 

『もはや民主主義国が少数派に転落した世界の現実 実は迷走、危機に瀕する「アメリカの民主主義」
薬師寺 克行 : 東洋大学教授
 イギリスでのG7サミット出席など初めての外遊を前にした6月初め、アメリカのバイデン大統領がワシントンポスト紙に寄稿した。それほど長くない記事の中でバイデン氏は中国への対抗心をあらわにしつつ、「民主主義の価値」「民主主義の可能性」「主要民主主義国の結束」など、民主主義という言葉を14回も使った。
 こうしたバイデン大統領の意向が反映されたのであろう、G7サミットの共同宣言では民主主義や自由、平等、法の支配、人権の尊重など、民主主義国が共有する抽象的な理念や価値が繰り返し強調された。そして、「強靭な国際秩序は我々市民の安全と繁栄の最良の保証人である」とうたわれた。
 それはあたかも7つの先進民主主義国の首脳が結束し、台頭著しい中国の権威主義や専制主義に立ち向かっていく決意表明でもあるかのようだった。(中略)
 2019年、スウェーデンの調査機関VーDemは、世界の民主主義国・地域が87カ国であるのに対し、非民主主義国は92カ国となり、18年ぶりに非民主主義国が多数派になったという報告を発表した。その後も民主主義が勢いを盛り返してはいないばかりか、権威主義国家の台頭ぶりが目立っている。(後略)』

 薬師寺教授の記事によると、昨年、中国共産党の香港弾圧法(国家安全維持法)が国連人権理事会で取り上げられた際に、批判派は日本を含む27カ国。それに対し、国家安全維持法を「支持」したのは、批判派の二倍、50カ国だったとのことです。


 無論、支持派の多くが権威主義国で、かつ中国の一対一路政策の影響を受けている国々です。


 「国の数」で考えたとき、すでに民主制の国々は多数派ではないのです。


 さらには、コロナ禍という非常事態が、「民主制⇒権威主義」への転換を促します。コロナ禍というショックを利用した、政治的なショックドクトリンです。


 日本にしても、「コロナ禍から国民を救う」をなおざりにし、様々な政治的、経済(というより「ビジネス」)的な動きが起きているでしょ?


 つまりは、我々は今、非常事態の最中、民主制が権威主義に対する優位を示すことができない時代に突入したのでございます。(1930年代そっくりです)


 もちろん、これはわたくしの個人的な価値観ですが、子供達や子孫に「国民が主権を持たない国」を残したくない


 国民主権国家「日本」とは、かつては「あって当然」な存在でした。とはいえ、今や「守らなければならないもの」であるという現実を、我々は理解する必要があるのです。
 

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