2022年9月12日月曜日

未婚者と有配偶者の死亡率比較(死因別)

  新居に引っ越して,今日で2か月です。1ルームですが,家具の配置を工夫してどうにかしています。狭いだけにエアコンの効きはよく,ガスは都市ガス,そして無料wi-fiの部屋ですので,基礎経費は前居と比して安くなり,助かっています。

 駅チカで,横須賀中央まで15~20分ほどで出れるようになったのもいい。横須賀の名景として知られる馬堀海岸も近くで,毎日,海風に吹かれながら,ここをウォーキングしています。

 このように生活環境はかなり変わりましたが,独り身の自宅仕事は相変わらずで,生活に「他律」というものがなく,気の向くままに暮らしています。食事も「孤食」はもちろん,「固食」にもなりがちで,茶色いメニューが並んだ食卓に向かっては,「いかんなあ」と漏らすこともしばしばです。家族持ちなら,こういうことはないでしょうけどね。

 厚労省の『人口動態統計』をみてみると,私くらいの中年男性の死亡率は,既婚者より未婚者で高くなっています。未婚男子は不健康な食生活になりやすいからでしょうが,細かい死因別の死亡統計を比較してみると,この推測が確からしく思えてきます。

 『人口動態統計』から,主要死因の年間死亡者数を配偶関係別に知ることができます。2020年だと,コチラのサイトの下巻表7です。45~64歳の男女について,未婚者と有配偶者に分けて,主要死因の死亡者数を取り出すと以下のようになります。未婚者とは,一度も結婚したことがない人です。


 男性をみると,死亡者総数は未婚者が2万4624人,有配偶者が2万8258人となっています。後者の方がベース人口の上で多数なのですから,当然といえばそうです。

 しかし死因別にみると,「未婚者 > 有配偶者」のものが多くなっています。肺炎の死亡者は未婚者が750人,有配偶者が288人です。糖尿病や高血圧疾患による死亡者数も,未婚者は有配偶者の場合以上です。ベース人口の差を考慮すると,これらの病で命を落とす確率は,未婚者が有配偶者よりもだいぶ高いことになります。

 女性はこのような差はなく,全ての死因で「未婚者 < 有配偶者」となっています。ベース人口の差を反映しています。どうやら,懸念される「未婚者 > 有配偶者」の差は,とりわけ男性で顕著であるようです。ベース人口で割った死亡率にして,差を浮き彫りにしてみましょう。

 2020年の『国勢調査』によると,同年10月時点の45~64歳男性(日本人)の未婚者は347万3234人,有配偶者は1103万8376人となっています(コチラの統計表)。したがって,トータルの死亡率は以下のようになります。ベース10万人あたりの死亡者数です。

 未婚者=2万4624人/347万3234人=709.0人
 有配偶者=2万8258人/1103万8376人=256.0人

 同じ中高年男性でも,未婚者の死亡率は有配偶者の2.8倍ということになりますね。まあ分かり切ったことですが,死因別にみると,倍率が大きいのが出てきます。上表の各死因の死亡者数を,ベース人口で割った死亡率に換算し,「未婚者/有配偶者」の倍率が高い順に配列すると以下のごとし。


 肺炎による死亡率は未婚者が21.6,有配偶者が2.6。前者は後者の8.3倍です。糖尿病は7.5倍,高血圧は6.8倍,腎不全は6.4倍の開きが出ています。

 肺炎はタバコ,糖尿病は甘いもの,高血圧や腎不全は塩分の摂り過ぎが原因とみられますが,こういう習癖になりやすいのは,食を「他律」されることの少ない未婚者でしょう。とりわけ独り身の男性ではそうです。

 46歳の単身未婚男性の私は,まさに「懸念層」なんですが,思い当たる節は大有りですね。

 ちなみに死亡者(50歳以上)の年齢の中央値を計算してみると,男性の未婚者は69.95歳,有配偶者は81.79歳です。未婚者は既婚者より,12年ほど早死にです。女性では傾向が反対です。上記の死因別のデータをみると,さもありなんですね。

 うーん,年金の恩恵にあまりあずかれそうにないので,保険料を払いたくないなあ。

 命というのは,生活習慣と関連している。逆に言えば,きちんと自分を律することができれば好ましい方向に向くということでもあります。これから「食欲の秋」ですが,頭の片隅に置いておきたいことです。