福音派の支持を得るための政治


新三木会の12月例会の講師を務めた国際政治学者・放送大学名誉教授の高橋和夫さんは、トランプがイスラエルのネタニヤフ首相を支持していることから米国の大統領選挙でキリスト教福音派の票を得たと解説した。大統領になってからは福音派のための政治を行っているという。以下のような構図だ。

イスラエルとヨルダンの間を流れるヨルダン川の西岸はパレスチナ自治区になっているが、ネタニヤフは西岸地区にイスラエル人が入植し、ユダヤ化する政策を進めている。西岸がユダヤ化すればキリストの再臨に備えることになるとして福音派はネタニヤフを素晴らしい政治家とし、ネタニヤフを支持するトランプもまた素晴らしいと受けとめている。

福音派が信じているのは聖書だ。聖書に書かれていることがすべて正しいと考え、ノアの箱舟の話を信じている。高橋さんは講話の節々でパワーポイントに映像を出したが、ノアの箱舟の話も映像化して見せた。
福音派はケンタッキー州に100億円をかけてノアの箱舟を造ったが、年間100万を超える人たちが訪れるそうだ。ノアの箱舟に恐竜は乗せられない。つまり恐竜は存在しなかったか、乗せられないので絶滅したかのどちらかだ。そう言って聴講者の笑いを誘った。この世に生きるものは神が作ったと信じ、進化論が間違っていると考える福音派を皮肉ったわけだ。

米国の人口、3億2千万人のうち四分の一の8千万人は福音派、その四分の三は白人、そのまた8割が大統領選でトランプに票を与えた。トランプは大統領になった後、国際世論の反対を押し切ってイスラエルのアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転した。

米国のユダヤ人はリベラルな人が多く必ずしもトランプを支持していないが、トランプは福音派に支持されればよいためユダヤ人から支持を得てもおまけ程度にしか考えていない。

ペンス副大統領が福音派の代表だ。トランプはこれまで多くの政権幹部を辞めさせたが、ペンスは福音派の票を持っているため切ることができない。

個人的な関係でネタニヤフとトランプを繋いでいる人たちがいる。トランプの娘婿のクシュナーはユダヤ人でネタニヤフと親しい。またユダヤ人で米国市民のアデルソンはカジノの胴元でネタニヤフとトランプを支持、支援している。

安倍首相がネタニヤフからアデルソンが日本にカジノを進出する際には協力してほしいと言われたという話がある。トランプも同様らしい。もしアデルソンのカジノが日本にできれば売り上げの一部がネタニヤフ支援の金になるだろう。


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