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12月1日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月30日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「分配も口だけ 岸田首相、もう露呈した「空っぽ」の危うさ」

新しい資本主義の内実は大企業優先の古い資本主義

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「本来、補正予算は本予算とは別に、緊急の手当てが必要な時に組むものです。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止と、コロナで傷んだ経済を立て直すための経済対策が目的のはず。米国から防衛装備品を買うことが経済対策になるのでしょうか。21年度当初予算の5兆3422億円と合わせて年度を通した防衛費が初めて6兆円を超える。補正予算に紛れ込ませてゴマカす手口で、衆院選公約で掲げた『防衛費のGDP比2%以上』に近づけようというのです。岸田首相はハト派のイメージを利用して、軍国化を加速させようとしているように見える。理念がないから、米国の言いなりで戦争にも参加しかねない。ソフトなイメージにだまされていたら大変なことになります」

 補正予算の総額は35兆9895億円で、このうち経済対策に充てる分は31兆5627億円だが、規模を膨らませただけで、効果は期待薄。あちこちから言われるままにカネを無意味に使って「やってるフリ」だけなのだ。

 補正予算に計上された「分配戦略」を見ても、「看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引き上げ」は2600億円。その一方で、マイナンバーカード保有者に最大2万円分のポイントを付与するマイナポイント事業には1兆8134億円もの予算を計上している。分配より、場当たりのバラマキ重視ということだ。

 「岸田首相は『新しい資本主義』などと言っていますが、その中身は大企業優遇の古い資本主義そのものです。非正規社員の待遇などの格差問題を放置したまま、大企業に形ばかりの賃上げを要請するのは欺瞞と言うほかない。政界では“真面目でいい人”というのが岸田首相の人物評ですが、それは操りやすいということでもある。何でも言うことを“ハイ、ハイ”と聞き、財界の要望に押されて、むしろ新自由主義が加速していく危うさを感じます」(五十嵐仁氏=前出)



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