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「潜在成長率の誤解に殺される(前半)」三橋貴明 AJER2020.10.26

    

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本当の「狼」とは何なのか? 緊縮が戦争を招く! [三橋TV第320回] 中野剛志・saya
https://youtu.be/g0HUfAKHSLE
 

【三橋貴明先生登場】Vol2「正しい貨幣観の広め方と共同体認識」
https://youtu.be/v4mc0_cNISo

 人間が「豊かになる」とは、具体的には何を意味するでしょうか。
 おカネが増える、ではないですね。所得が増える、です。


 とはいえ、そもそも何のために所得が必要なのかと言えば、もちろん「消費」するためです。人間にとって、より沢山の、より品質が高い財やサービスを消費することこそが「豊かになる」なのです。(これに反対する人、います?)


 だからこそ、実質消費、実質賃金という指標が大事なのです。


 特に、実質賃金は「豊かさの指標」であると同時に、「生産性の状況」を示してくれます。
 

 未だに「平均賃金(=名目賃金)」と「実質賃金」を混同している「頭が悪い人」が少なくないですが、実質賃金は名目の金額とは関係なく、「生産性」で決まります。実質賃金が下がっているということは、労働者一人当たりの生産量が減少していることを意味するのです。
 

 マクロ的には「資本集約的」な経済から、「労働集約的」経済への転換です。すなわち、発展途上国化です。
 

 平均賃金と実質賃金を混同した「頭が悪い人」は、
「いや、就業者数が増えたら、実質賃金は下がって当たり前だ」
 と、「所得のパイが一定の状況で、就業者数が増え、平均が下がった」というレトリックで正当化しようとします。だから、それ、平均賃金の話

 就業者数が増えようが減ろうが、生産性が高まれば実質賃金は上がる。生産性が落ちこめば実質賃金も下がる

 

 そもそも、「就業者数が増えれば、必ず実質賃金が下がる」って、一度でもデータで確認したことあるんか、コラ?

【日本の就業者数(左軸)と実質賃金指数(右軸)の推移】


http://mtdata.jp/data_71.html#syuugyou

 97年まで、日本は普通に「就業者数増&実質賃金増」の状況が続いていました。
 

 あるいは、「就業者数が増えれば、必ず実質賃金が下がる」ということは、「就業者数が減れば、実質賃金は上がる」ということなのか? じゃあ、リーマンショック後の「就業者数減&実質賃金減」の状況を、どう説明するんだ、コラ?
 

 要は、デフレ継続で、経営者が生産性向上の投資をせず、人口構造の変化(生産年齢人口比率の低下)による人手不足を、
「安く働く労奴」
 でカバーをしようとした(している)結果、実質賃金が落ち込んでいった現状を「正当化」したいだけなのでしょうけれども。(政権正当化のために)
 

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「なぜ20年以上も日本の賃金は下落している?」中野剛志が指摘する“本当の理由”
 菅首相は、10月26日の「所信表明演説」で、「最低賃金の全国的な引上げに取り組みます」と高らかに宣言した。この「賃上げ」をもう一つの持論である「中小企業改革」によって実現させようとしているようだが、果たしてこの政策はうまくいくのだろうか。
〈「賃金上昇」の重要性に着目したこと自体は全くもって正しい。過去20年以上にわたって日本経済が抱えてきた最大の問題が、「賃金の下落」にあることは間違いないからだ〉
 こう評価するのは、評論家の中野剛志氏だ。だが、その上で、こう指摘する。
「アベノミクス」の下で実質賃金は急落した
〈日本の「実質賃金」は1998年以降、減少傾向にある。それだけではない。安倍前政権によるいわゆる「アベノミクス」の下では、実質賃金はさらに急落し、低迷した。もっとも、安倍前政権もまた、「賃金上昇」を目指してきたはずだ。ところが、実質賃金は民主党政権時を下回る水準まで下落し、低迷したのである〉
〈「どうして過去20年以上にわたって、賃金が下落してきたのか」、とりわけ「なぜアベノミクスは賃金の急落を招いたのか」を反省し、過去20年間の政策から大転換を図らねばならない〉
 その際、中野氏がとくに重視するのは、「賃金主導型の成長戦略」と「利潤主導型の成長戦略」という二つの「成長戦略」の区別だ。
〈「賃金主導型成長戦略」とは、「賃金上昇」を経済成長の推進力とする戦略である。賃金が上昇するのは、人手不足の時である。例えば、高度成長期の日本は、慢性的な人手不足であった。少子高齢化も人手不足を招く。(略)労働組合の力が強く、企業が労働組合の賃上げ要求に応じざるを得ないような状況にあることも、賃金上昇の重要な要因となる。(略)実際、戦後から1970年代までの日本経済は、このような「賃金主導型成長戦略」により、比較的高い成長率を実現していたのである〉(後略)』

 そもそも、1990年台に本格化した構造改革、グローバリズムは、
「国民の賃金を引き下げ、利益を拡大し、株主の配当金を最大化する」
 ことが目的でした。


 日本国民の実質賃金がひたすら落ち込んでいったのは、「政策」の結果に過ぎません。というか、むしろ「政策的な成果」なのです。
 

 構造改革により、「賃金主導型成長戦略」から「利潤主導型成長戦略」に「構造」を変えられた結果が、現在の日本国の衰退なのです。

【資本金十億円以上の企業(金融・保険除く)の売上高・配当金等(1997年=1)】
http://mtdata.jp/data_72.html#haitou

 要は、↑こうしたかった結果、こうなったわけです。


 もっとも、さすがに「賃金下落」は社会問題化しています。ところが、菅・アトキンソン内閣は、これを「好機」として利用し、
「中小企業の生産性が低いのは、投資が不足しているためだ(ここまでは正しい。ここから間違い)。中小企業は中小企業基本法で保護されているから、投資をしない。中小企業基本法を改訂し、最低賃金を全国一律で引き上げる」
 と、中小企業潰しに走っています。


 違う!


 我々企業経営者が投資をしない(できない)のは、需要、市場、仕事が不足しているためだ。デフレ(総需要不足)なのだから、当たり前だろ。


 必要なのは、デフレ脱却。そのための、財政出動


 この基本中の基本を早期に国民が共有しない限り、間違いなく「中小企業淘汰&地方銀行再編」路線が進みます。二十一世紀初期、「不良債権問題」燃え上がった時期と同様に、アトキンソンらの「バック」にいる、禿鷹ファンドが舌なめずりをしていることでしょう。
 

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