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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

国連が中国のウイグル自治区での深刻な人権侵害について報告書。中国共産党により拘束されているウイグルの人たちを解放するよう求め「人道に対する罪に該当する可能性がある」と指摘。

2022年09月02日 | 人権保障と平和

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 国連人権高等弁務官事務所は2022年9月1日、中国の新疆ウイグル自治区の人権状況についての報告書を公表しました。

 この中では、ウイグルの人たちなどイスラム系住民への中国政府の対応について

「テロ対策や過激派対策を名目に深刻な人権侵害が行われている」

と指摘しました。そのうえで報告書は

「関係する法令のあいまいさが解釈の幅を与えている」

として、当局が法令を恣意的に解釈できることが人権弾圧につながっていると批判しています。

 

 さらに、国連人権高等弁務官事務所は、中国政府が職業訓練所だとする施設に収容されている人たちについては

「施設内で拷問などが行われているとする主張には信ぴょう性がある」

としています。



 報告書では、強制的な医療行為や

「差別的な家族計画や出産制限」

の対象にされている女性たちなどもいるとして、中国政府によるこうした人権の侵害は

「人道に対する罪に該当する可能性がある」

とさえ指摘しました。

 そして、国連人権高等弁務官事務所は、中国政府に対し、拘束されているウイグルの人たちなどを解放するよう求めているほか、拘束された家族などを探す人に、行方不明者の所在を公表するとともに、差別的な法律を撤廃することなどを求めています。

 

 

 この報告書の作成にあたり、国連のバチェレ人権高等弁務官の中国の新疆ウイグル自治区への訪問が2022年5月に行われました。

 この訪問は、新疆ウイグル自治区で人権侵害が行われているとして、アメリカなどが北京オリンピックに政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明する中、中国共産党がバチェレ氏を招待して実現したもので、人権高等弁務官の訪問は2005年以来でした。

 バチェレ氏は6日間の滞在中、2日間、新疆ウイグル自治区を訪れ、中国側が職業訓練のために使っていたと主張している施設や刑務所を訪問したことを明らかにしました。

 そして、この報告書はバチェレ氏が人権高等弁務官を退任する日に発表されたのでした。

 

 

 これに対するカウンターとしてジュネーブの中国政府代表部は

「報告書は中国をひぼう中傷するとともに内政に干渉し、国連人権高等弁務官事務所の信頼と公平性を著しく損うものだ」

「反中国勢力がでっち上げたうその情報を主な情報源にしている」

と主張する英文で120ページもの声明を発表しています。

 しかし、そもそも、バチェレ高等弁務官の調査に対して中国共産党は非常に非協力的で、ウイグルに入れたのは2日間だけですし、事前に訪問の詳細な日程や訪問先が明らかにされないうえ、新型コロナウイルスの感染対策を理由にメディアの同行取材も許されませんでした。

中国、ウイグル報告書で国連各国に〝圧力工作〟 公表しないよう働き掛け、書簡で「重大な懸念」表明 識者「欧米は独自で対中制裁を」(1/2ページ) -  zakzak:夕刊フジ公式サイト

 

 バチェレ氏自身、8月25日にはあらゆる方面から「多大な圧力」を受けていると明らかにし、中国主導の40か国からのこの報告書を発表しないように求める書簡を受け取ったことも認めています。

 会見で「詳細に踏み込むことは困難だった」と述べたほか、「調査という位置づけではない」さえ言わざるを得ないものでした。

 中国共産党が自分たちがウイグルで人権侵害などしていないというのなら、諸外国のマスメディアと国連機関にウイグルのすべてを公開すべきです。

 それが全くできない中国政府の言うことを、実は「大国」中国の「経済」に屈した40か国を含め、世界のだれも信用しないのは当然でしょう。

ウイグル問題「懸念にこたえる姿勢ない」 国連特別報告者が中国批判:朝日新聞デジタル

 
 

 

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国連の報告書ではウイグルで身柄を拘束してされているウイグル市民の数は不明としているのですが、国際人権団体はその数最大で100万人と推定しています。

まさに、ナチスがユダヤ人に対してやったホロコーストに匹敵する虐待・虐殺を、この21世紀の世界で、中国共産党はウイグル民族に対してしているのです。

この問題の解決は人類共通の緊急課題です。

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1 コメント

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[世界を脅かす中華思想] (バードストライク)
2022-09-07 13:08:50
バチェレ高等人権弁務官、チリかペルーの出身だったと思いますが、この報告書を出すにあたって中国及び中国から手を回した国々から攻撃を受け、大変な勇気が要ったことでしょう。
なんでもこれを発表するのと引き換えに、国連内での出世は諦め、故国に帰る決意をしたのだとか(真偽は知らない。ある研究者のツイートによる)。

かねてより囁かれていたウイグルへの「ジェノサイド」、アメリカへの亡命者も活動しているけれど、公式の調査=証拠がひとつ追加されたということでしょうか。
(漢人から見て)異民族の顔立ちをした人々が、漢人の監視の下 整列させられている姿がまさに民族の誇りを奪われているようで、胸が痛みます。
そしてカメラマンもこの写真を撮るのが精一杯だったのでしょう。

中国は新疆ロプノールで45回あまりの核実験を行いました(あの「金髪の美少女ミイラ」が発掘されたところ)。
核実験場から最近の集落までは2キロ程度しか離れていなかったとか。
ソ連のカザフ・セミパラチンスク核実験場と同様、膨大な被害を出しているはずですが、ソ連の被爆者については多少の報道があるものの、新疆の被害は闇の中です。

ただネトウヨネトサポ・安倍の御用がウイグルの話になると急に人権派になるのがウザい。

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