東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、女性蔑視と取られる発言をした。約40分に及んだ言葉を掲載します。

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余計なこと申し上げましたが、今日、本当はお願いに来たわけです。いよいよ、JOCのお力を借りて、スポーツ協会の方のお力を借りて、五輪目前であります。あと半年です。ぜひ実現をしたい。今日もですが、見出しをみていると「森が謝った」とか「早く辞めろ」とか、そういう記事がたくさんばかり出ています。こないだまで悪口は山下さんばかりだったんだけど、最近は私か菅さんとどっちが多いかというぐらい悪者になってますね。うちの家内にこの年になって「総理の時は我慢していたけれど、総理の時よりも悪口を言われるということはよっぽど悪いことをしているんですか」と言われるんですが、切り取るところが、悪いんだろうといって女房を説得しているわけです。

端的に言うと、いま出ているニュースは山下さんや私に対するものというのは、結局オリンピックをさせたくないんですよ。オリンピックを失敗したら菅さんに責任を取らせるし、森にも責任を持たせるし、山下さんも。ということを考えている方がスポーツ関係の中にはかなりおられると。スポーツ界、NF、役員構成、理事構成、年齢構成などで必ずトラブルがあるわけですね。長く務めていると、JOCの理事、スポーツ協会の理事、副会長というのは肩書は世間的にはいいですが、そういう意味で長くやられた方は辞めるのが苦痛なんだと思います。ですから私は体協もラグビー協会も本当は、前代未聞のラグビーワールドカップをやったんですから、皆さんがもうちょっと残ってやったらどうかと言ってくれるかなと思っていたが、誰もそうは言ってくれなかった。それでしゃくに障ったんで、九州にいる森(重隆)さんを会長にしたんです。いずれにしてもラグビー協会の会長も早く辞めて、私に名誉顧問や名誉理事くらいと思ってそれもない。いかにラグビー協会は冷厳であるか。

そのラグビー協会もW杯前の19年6月に人事。新聞記者に聞いたら、W杯を目の前に辞めることないんじゃないかと。W杯が終わったら辞めればいいと。当時の会長もそうだとなり、みんなが黙って言えないことになっていたんだと。私はそれで憤慨したんです。自分たちがやりたいがために役員人事を半年延ばすのはもってのほか。私は強く抗議した。ただし、今まで一生懸命に苦労した役員のみなさんにはW杯の試合を全部見られるように手配しなさいと。見事に直前に岡村さんから今の森さんに変わられたと。山下さんからガバナンスコードについて、かなり難しい状況なんじゃないかなと。これもいろいろ聞いていました。同じように理事として頑張った方をどうやってオリンピックの時にと。これは山下さん、理事としてきちんとやってさしあげないとだめだと。

特にこの山下会長は竹田さんから20年ぶりくらいに会長が変わった。これは珍しい。それは竹田さんという大変な崇高なお立場の方でいました。立派な方なので自分で何か意思をおっしゃることはなかった。しかし、周辺が相当気を付けないと、評価されない面がたくさんあったと思う。いろんな不祥事もありました。お金の面で解決したことは1つもなかった。立ちはだかる競技は、橋本聖子さんがやってましたから、追及しにくい雰囲気があった。ですから、橋本さんが常に前面立つべきだという。国会の議員仲間に物が言いにくいということがあったと聞いています。そういう中で山下さんが皆さんの手によってお選びになられた。山下さんを全員で支える。

実を言うと昨日、組織委、JOC、東京都みなさん、国、関係者集まり、自民党本部で関係各位の会議がございました。その最後に山下さんがあいさつした。びっくりした。これが山下さんなんだなと。柔道以上にけれんみがあった。本来、山下さんがあれだけ立派な演説をするとは。みんなそう言っていた。しゃべり方だけではなく、理路整然と1つ1つしっかりした話をされてました。この原稿は籾井さんが作ったのかなと。いろいろ考えましたが、いずれにしてもみんな力を合わせて山下会長を守っているのだと安心しました。しかし、演説をしたのは山下さん。私もいろんな話の間、すばらしい山下さんのリーダーシップ、あらためて、大いに評価をし、これからもオリンピックに向けてしっかり頑張っていただきたいと。ご協力を賜ります。

これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る。そんなこともあります。

私どもの組織委にも、女性は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる。みんな競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方ばかり、ですからお話もきちんとした的を射た、そういうご発言されていたばかりです。

長くなって恐縮です。山下さんが、私に最初にあいさつしろと。こう言うもんですから。私は長くなるよ、と。議事進行にご迷惑になるからと。というよりは私の立場を考えて、何か先にしないと失礼になると事務局は考えたと思う。そういう考えは無用です。ここに来れば、みんな同じなんです。ですから、そういう意味で、誰か偉い人が来たら、すぐさせるとか。特にそういうのは会議の途中でありますから「ただいま、何とか大臣が見えましたので、ごあいさつを」というのがあります。あれ1番、良くないですね。そんなつもりで来てるんじゃない。

今日、私は実際、しゃべりはないと。そう思って。言われなかったから原稿も用意してなかった。急な話ですから昨日一昨日使った、当時使った、この原稿を使ってくださいと。一昨日しゃべったことを何でなんだと。まあ、こういう風にみんなが気をつかってくれることは、ありがたいことでありますが、どうぞ、あんまり気をつかわないで。あんまり気をつかわれたら私もう来ないようにしますから。さっきから事務局の皆さんにも、そう申し上げた。山下さんも出てこられたんで、あなたが私を出迎えにエレベーターへ来られると、全理事にしなきゃいけませんよ、と。それができるんだったらいいが、できないんだったらやめなさいと、さっそく注意した。そういう意味で皆さん、円満にスポーツのことをしっかり考えて。

★森会長「NHKは動かないと」/発言全文1

★森会長の心境「どんなことあってもやる」発言全文3

 

 

 

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などとした発言を撤回し、謝罪しました。会見の詳しい内容は以下のとおりです。

“不適切な表現であった”

森会長
「きのうJOCの理事会の後で私がご挨拶をしました。それをお聞きの方々もいらっしゃると思いますので、これ以上詳細のことは申し上げません。今わざわざお集まりいただいいてご心配いただいていることに恐縮しております。きのうのJOC評議員会の発言につきましては、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったとこのように認識しています。そのためにまず深く反省をしております。そして発言致しました件につきましては撤回したい、それから不愉快な思いをされた方についてはおわびを申し上げたい。以上であります」

“引き続き献身して努力していきたい”

森会長
「オリンピックパラリンピックにおきましては、男女平等が明確にうたわれております。アスリートも運営スタッフも多くの女性が活躍しておりまして大変感謝しています。私は組織委員会のことを申し上げたことでないことは皆さんご承知いただいていると思いますので、私も組織委員会については非常に円満にうまくいってると注釈で申し上げたことも聞いておられたと思います。次の大会まであと半年になりまして関係者一同頑張っております。その中で責任者である私が皆さんのお仕事に支障があるようなことがあってはいけない、そう考えておわびをして訂正撤回をすると申し上げたわけです。世界のアスリートを受け入れる都民国民、IOCをはじめ国際的な関係者にとってもオリンピック・パラリンピック精神に基づいた大会が開催できますように、引き続き献身して努力していきたいと思っています」

(以下は質疑応答。)

“辞任の考えない”

(質問)
今回の発言で国内外から大きな批判。会長の中で辞任をしなければいけない考えはあったか。

(森会長)
辞任するという考えはありません。私は一生懸命献身的にお手伝いして7年間やってきたわけで、自分からどうしようという気持ちはありません。皆さんが邪魔だと言われれば、おっしゃるとおり老害が粗大ゴミになったのかもしれませんから、そしたらはいてもらえばいいんじゃないですか。

“知ってる理事会の話をした”

(質問)
IOCはオリンピックにおける男女平等をかかげている。日本もジェンダーバランスを同じようにしていこうと努力している中での発言だったが、大会のトップとして世界にどのように説明していきたいか。

(森会長)
私は組織委員会の理事会に出たわけじゃないんですよ、JOCの理事会に僕は名誉委員という立場だったからそこであいさつをした。私は自分なりに整理をしていたつもりです。組織委員会の理事会と一緒にしておられる方もいるが、それは皆さんの報道のしかただと思いますが。あくまでもJOCの評議会に出て私はあいさつをしたということだ。
それは1つは山下さん(JOCの山下会長)が、今度の改革は大変大きな改革で、JOCが人事の改革をするのに大変な苦労をしている、最初から理事会で相当な突き上げをくらったりして難航しておられると相談があったものですから。山下さんの最初の大きな仕事としては、最も成功してもらわないといけない仕事、そこが人事のことですから、そのことはよくできたということを私はよく評価して山下さんにお礼を申し上げることを、そこで発言をしたんです。
ですが政府から来ているガバメントに対してはあまり数字にこだわるとなかなか運営が難しくなりますよと、そういう中で私の知ってる理事会の話をしてああいう発言になったということです。

特定の女性を念頭においたものではない

(質門)
女性の話が長いという発言については、ラグビー協会の特定の女性理事を念頭においたものではないか。

(森会長)
一切頭にありませんし、今回の理事会でどういう人が理事で誰がどう話したかというのは、私は一切知りません。

IOCへの説明“必要ない”

(質問)
発言についてIOCから問い合わせはあったか。

(森会長)
私は分かりませんが、職員は毎日毎日きょうもこれから、いつも会議が始まりますから、そういう話はあるかもしれません。

(質問)
森会長からご説明される意思はあるのか。

(森会長)
それは必要はないでしょ。今こうしているんだから。

“誤解生むといけないので撤回”

(質問)
五輪の理念に反する発言。辞任しないことが大会への批判になるのでは。

(森会長)
ご心配いただいたのはありがとうございます。誤解を生むといけないので撤回します。そう申し上げています。

“オリンピック精神に反すると思うから…”

(質問)
会長は国民から理解を得られる大会をと言っていた。オリンピックの理念に反する発言だったと思うが、ご自身が何らかの形で責任を取らないというのは大会の開催の批判を強めてしまうものではないかと思うが、どうお考えか。

(森会長)
ご心配いただいたのであればありがとうございます。誤解を生むといけないので撤回しますと申し上げている。オリンピック精神に反すると思うからとそう申し上げた。

“数字にこだわって無理しないほうがいい”

(質問)
女性登用についての基本的な考え方を伺いたい。会長はそもそも多様性のある社会を求めているわけではなく、ただ文科省がうるさいから登用の規定が定められてるという認識でいらっしゃるのか。

(森会長)
そういう認識ではありません。僕は数字にこだわって何名までにしないといけないというのは、あんまりそれにこだわって無理なことはしないほうがいいな、ということを言いたかったわけです。

(質問)
きのうの文科省のうるさいからというのは、数字がという意味か。

(森会長)
うるさいからというのは、ガバナンスを守るためにみんな大変苦労されているようです。私はいま、どこの連盟にも関係をしておりませんからね。いろいろな話が入ってくるので、総括して会議の運営は難しいですよというのを申し上げた。

“密をどう避けられるかという話の例”

(質問)
聖火リレーで愛知で走る予定だったタレントの田村淳さんが森会長の直近の発言で何があってもオリンピックをやるということを田村さんは解釈されて、理解不能だと聖火ランナー辞退した。どう受け止めているか。

(森会長)
きのうのことに合わせて報道されたんでしょうが、これはきのうの会合じゃないと思いますよ。おとといの自民党のことで、そのときにリレーについてはどうなってますか、という質問があったから、われわれ直接やるものではないが、各県がやっておられる実行委員会にお願いして基本的には密を避けてやっているんだと。
その中で、例えば人気のあるタレントさんは、できるだけ人がたくさん集まるところはご遠慮していただくほうがいいかなと思ってると。誰が走るかとか、何キロ走るかは僕らが決めることではないので、実行委員会が考えること。
僕らが県に言えるのは、できるだけ密は避けてくださいと、タレントさんがくるとみんな集まってくる、そうすると密になるからどう避けられるだろうという話の例で、密じゃないところといえば、それじゃあ田んぼで走るしかないね、空気がこもらないし、それしかないですねという意見もありますということを紹介しただけで、組織委員会がするということを言ったわけではない。
それもこれも実行委員会でお考えをいただき、決めていただきたいとその例で申し上げただけで。

“私は誰が走るか一切知りません”

(質問)
著名人のランナーに継続して走っていただきたいという思いは。

(森会長)
私は走ってくださいとか走って下さるな、とかを言う立場じゃありません。お決めいただいた人たちは、所定の手続きをされてこちらに持ってこられるんだろうと思います。私は誰が走るか一切知りません。

“私も”話が長いほう

(質問)
基本的な認識だが女性は話が長いと思っているのか。

(森会長)
最近女性の話を聞かないから、あんまりわかりません。

(質問)
東京都の小池知事が会見で「話が長いのは人によります」と発言されていた。

(森会長)
私も長いほうなんです。

(質問)
国会議員でも、女性の割合をあらかじめ決めておこうという話も盛り上がっている。

(森会長)
それは民意が決めることじゃないですか。

(質問)
会長ご自身は賛成か反対か。

(森会長)
賛成も反対もありません。国民が決めることだと思います。

“責任が問われないとは言っていない”

(質問)
冒頭誤解を招く発言とか不適切という発言があったが、どこがどう不適切だと会長はお考えなのか。

(森会長)
男女を区別するような発言をしたということです。

(質問)
オリンピック精神に反するという話もされてましたが、そういった方が組織委員会の会長をされるのは適任なのか。

(森会長)
さあ、あなたはどう思いますか?

(質問)
私は適任じゃないと思うんですが。

(森会長)
じゃあそのように承ります。

(質問)
会長としての発言ではないので責任が問われないという趣旨の発言も…。

(森会長)
責任が問われないとは言ってませんよ。場所をわきまえてちゃんと話したつもりです。

(質問)
組織委員会としての場じゃないから、あの発言はよかったということなのか。

(森会長)
そうじゃありませんよ。ちゃんと全部見てから質問してください。

“場所、時間、テーマとかに合わせて話すことが大事”

(質問)
わきまえるという表現を使われていたが、女性は立場を控える立場だという認識か。

(森会長)
そういうことじゃありません。

(質問)
じゃあなぜああいう発言になったのか。

(森会長)
場所だとか時間だとかテーマだとかにそういうものに合わせて話すことが大事じゃないんですか。そうしないと会議は前に進まないんじゃないですか。

(質問)
それは女性と限る必要はあったのか。

(森会長)
だから私も含めてと言ったじゃないですか。

(質問)
先ほど女性がいると会議が長くなるという発言を誤解と表現したと思うが、これは誤った認識だということではないのか。

(森会長)
去年から各協会や連盟は、人事に苦労しておられたようです。私は昔は全体を統括する体協、今のスポーツ協会の会長をしておりましたから団体の皆さんとも親しくしております。そういう皆さんたちはいろいろ相談にも来られます。その時になかなか大変ですということでした。
特に山下さんのときは、JOCの理事をかなり削って女性の枠を増やさないといけないということで大変苦労したという話をしておられて、理事の中で反対もあって大変だったけどなんとかここまでたどりついた苦労話を聞いたからです。

“聞いたことを思い出して言っている”

(質問)
競技団体から女性が多いと会議が長いという話が上がってるということか。

(森会長)
そういう話はよく聞きます。

(質問)
それはどういう競技団体から。

(森会長)
それは言えません。

(質問)
実際データがあるとか根拠に基づいた発言ではなかったと受け止めたが、どうか。根拠のある発言とは思えないが。

(森会長)
僕はそういうこと言う人はどういう根拠があっておっしゃったかわかりませんけども、自分たちが女性の理事をたくさん選んだけども、結果としていろんなことがあったということを聞いたことを思い出して言っているんで、そういうことで苦労されますよということを申し上げたんです。

“謙虚に受け止めている”

(質問)
今回の発言で皆さん怒っている。オリンピックを運営するトップの方が女性を軽視する発言をされたことについて、皆さん怒っています。森会長の率いる大会を見たくないという声もネットなどで上がっています。それについてどう受け止めているのか。

(森会長)
謙虚に受け止めております。だから撤回をさせていただきますと言っておるんです。

【オリンピック・パラリンピックの精神】

オリンピック・パラリンピックの精神は、IOCの「オリンピック憲章」などで定められ、人種、肌の色、性別、性的指向などを理由にしたいなかる差別も否定しています。

憲章はIOCや競技団体だけでなく、森会長がトップを務める大会組織委員会も守る義務があります。

また、憲章では「男女平等の原則を実践するため、あらゆるレベルと組織において、スポーツにおける女性の地位向上を促進し支援する」とIOCの役割について記していて、IOCは女性の参加比率を高める取り組みとして、東京大会から男女の混合種目を柔道やトライアスロンなどで増やしていました。

競技団体 女性理事の割合 目標40%以上

スポーツ庁は2019年6月に競技団体が守るべき規範、「スポーツ団体ガバナンスコード」をまとめ、役員の体制については、女性理事の割合の目標を40%以上とすることが明記されています。

そして、競技の普及・発展などのために女性の視点や考え方を積極的に取り入れることが求められるとしていますが、スポーツ庁が調査した国内の107の競技団体の女性理事の割合は、2019年3月の時点で15.6%と、低い水準にあるということです。

スポーツ庁によりますと、この規範は競技団体を統括する立場のJOCにも適用されるとしています。スポーツ庁は「競技団体からは人材が不足しているという声もあり、女性役員育成のための研修を開くなどの支援をしている。すぐに達成が難しい場合でも、段階的に割合を増やしていくなどの方法はある。今後も目標達成へ向けてサポートしていきたい」としています。