No. 2108 国連では、ならず者の米国対世界

At the UN It Is a Rogue US Against the Rest of the World

by b

テッド・スナイダーは問う。

　米国はならず者の超大国なのか？
　かつて「一極」とは、少なくとも理論的には、米国が単独で世界をリードすることを意味していた。今、 “一極 “とは米国が単独で世界と対立し、孤立していることを意味する。

スナイダーは、最近の国連安全保障理事会（UNSC）決議2728{1}に言及している。この決議はガザでの停戦を「要求」し、人質の解放を「要求」し、ガザへの食糧やその他の物資の供給を妨げないことを「要求」している。

米国は、この決議には拘束力がない｛2｝と虚偽｛3｝の主張をしている。

スナイダーはこう書いている{4}：

3月25日、米国はさらに踏み込んで、国際法を米国のルールに基づく秩序に入れ換え、ならず者国家となる一歩を歩み出した。国際法は憲章制度と国際連合に基礎を置き、普遍的に適用される。（米国のいう）「ルールに基づく秩序」は、出所も同意も正当性も不明な不文律で構成されている。世界の大多数にとってこれらの不文律は、米国とそのパートナーにとって有益なときに発動され、そうでないときには発動されないという体裁をとっている。

３月25日、安保理は「持続可能な停戦につながる、すべての当事者が尊重するラマダン月の即時停戦」を要求する決議を採択した。この決議が可決されたのは、米国が拒否権を行使せず棄権したので、他の14の安保理理事国が可決したからである。

しかし、リンダ・トーマス＝グリーンフィールド国連大使が決議案が可決された後で米国の棄権について説明する中で、驚くべきことに、こう言った。「われわれはこの拘束力のない決議案の重要な目的のいくつかは全面的に支持している。」

安保理決議が拘束力を持たないという彼女の主張は、台本にない即興のコメントではない。国際法ではなく米国主導のルールに基づく秩序を強制する国の戦略なのだ。

アルノー・ベルトランも同様の考えを付け加えている： {5}

当初からガザは、いろいろな意味で国際法と米国の「ルールに基づく秩序」との間の戦いであることは明らかだった。

今回の国連決議にまつわるエピソードはそれを完璧に物語っている。ある行動を「要求」する国連安保理の決議が拘束力を持つことは、国際法学者の間では議論の余地がない。実際、国連安保理の決議は国際法そのものであり、国連憲章第25条にはこう明記されている：「国連加盟国は、この憲章に従って安全保障理事会の決定を受諾し、履行することに同意する」

しかし、米国は今、「これは拘束力のない決議だから、イスラエルにはまったく影響がない。」と、「ルール」は実際には違うと主張している。

国連安保理が「持続可能な停戦につながる、全当事者が尊重するラマダン月の即時停戦を要求する」時に、それに拘束力がなく、戦争当事国には「まったく影響がない」というルールが、どこに書いてあるのだろうか？

どこにも書いていないのがルールに基づく秩序の素晴らしいところだ。ルールは、状況に応じて、米国とその子分の利益に合うようにその場その場で作られるのだ。

ここでの大きな問題は、文字通り世界中が、米国の主張に反対しているということである。

再び、スナイダー{6}：

すべての国連安保理決議には法的拘束力があり、国際法としての地位がある。だからアントニオ・グテーレス国連事務総長が「この決議は履行されなければならない。不履行は許されない」と述べたのだ。ファルハン・ハク国連副報道官は、「安全保障理事会の決議はすべて国際法である。国際法と同様の拘束力がある」と説明している。

米国の主張に対し、他の国も同じような反応を示した。決議案を起草した安保理選出の10理事国を代表して、モザンビークのペドロ・コミサリオ国連特使は、「すべての国連安保理決議には拘束力があり、強制力がある」と述べた。そして、「本日採択された決議が、すべての締約国によって誠実に履行されることが、10カ国の希望である」と付け加えた。

英国も、米国の主張を「共有しない」とし、国連特使に「すべての安保理決議が履行されることを期待している。今回の決議も同様だ。決議の要求は絶対的に明確である」と言うよう促した。中国もまた米国に同調しなかった。「中国の張俊国連大使は、安保理決議には拘束力があると述べた」

フランスもまた{7}米国の主張を否定し、国連安保理決議2728には絶対的な拘束力があり、特にイスラエルを拘束すると主張している：

国連安保理決議には国際法上の拘束力がある。すべての関係当事者はそれを履行しなければならない。特にイスラエルはこの決議の履行が不可欠である。

ロシアも同様のことを言っている{8}：

ロシア外務省は火曜日、即時停戦と人道援助のアクセスを求めるガザに関する国連安保理決議2728は、イスラエルを含むすべての側を拘束すると述べた。

…

「ロシア側は、拘束力のある国連安保理決議2728が、イスラエルによるラファでの作戦の阻止、人質の解放、同地域の市民への人道支援の拡大など、ガザでの暴力の緩和に貢献することを期待している」と述べた。

国連安全保障理事会の常任理事国5カ国のうち、米国の同盟国2カ国を含む4カ国、非常任理事国すべて、そして国連事務総長は、国連安保理決議2728は拘束力があると明言している。

公然とこれに異議を唱えているのは、米国（と、その少数のマイナーな代理人）だけである。

バートランドは、これが大きな結果をもたらすだろうと指摘している：

米国の主張が国際関係の整合性にとって非常に重大な意味を持つというのは誇張ではない。これによって米国は第二次世界大戦後に作り上げた世界秩序を事実上破壊することになる。なぜなら、世界秩序を支える一連の制度、ルール、規範は無意味だと、事実上すべての人に言うことになるからだ。私たちは今、誰もが警察や政府、基本的な信条が完全に腐敗していることに気づく世界体制の中にいる。これがすべてを変える。

次に何が起こるのか？米国はもう戻れないと思う。そして米国も無意識のうちにそれを知っていると思う。さもなければ、少なくともすべての人々のためになるような行動をするふりをするだろう。そうしないのは、覇権を回復する野心を事実上放棄しているからだ。彼らは今、自分たちのために体制から搾り取るのに精一杯で、世界への見栄はもうないのだ。

米国がその大部分を作り上げた後に、破壊しようとしている機関は国連安全保障理事会だけではない。

2019年、世界貿易機関（WTO）は控訴裁判所{10}を失った：

国際貿易の最高裁判所とされるWTOの上訴機関は、火曜日の深夜に新たな紛争案件を裁定する能力を失った。

何十億ドルもの世界貿易に影響する決定を下すこの委員会には7人の判事がいることになっている。しかし米国は過去3代の大統領の下で、WTOのやり方に抗議するため、裁判官の交代を阻止してきた。

裁定を下すには最低3人の判事が必要で、最後の3人の判事のうち2人の任期は火曜日の午前零時で終了した。

この状況は、拘束力のある国際ルールではなく、権力に基づく貿易関係のシステムを生み出す危険性があるという批判もある。

米国は現在、保護主義、補助金、関税を行使しているが、これらは以前合意していたWTOのルールでは明らかに違法である。しかし、まともな議論なしにWTOの法廷を破壊することに成功したため{11}、もはやそれに対して罰せられる直接的な方法はない。

しかし貿易は国際関係の一分野に過ぎず、他のWTO加盟国は法廷がなくても紛争を解決する方法を見出している。

平和に関する問題や、大量虐殺を意図して行われる戦争に関しては、利害関係ははるかに大きい。

バートランドはこう結論づける{12}：

しかしほとんどの国は、ルールや規範のない「食うか食われるか」の世界、「力が正義」の世界には住みたくない。だから、やがて新しいシステムが生まれるだろう。

最大の未知数は、大規模な世界大戦を起こさずに新システムを構築できるのか、誰がその土台作りを主導するのか、そして今度こそすべての人にとって公平で、すべての人に尊重されるようにするにはどうすればいいのか、ということだ。