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令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。

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三橋TV第194回【安倍政権の最大の特徴は「平気で嘘をつく」こと】
 
三橋経済塾第九期第二回(会場:京都、ゲスト講師:藤井聡先生)の回のお申込み受付を開始いたしました。
【令和2年2月15日(土) 三橋経済塾第九期 第2回講義】
https://ws.formzu.net/fgen/S16674399/
非塾生の方もお申込み可能となっております。
 
 さて、実質賃金です。
 予想通り、2019年は12月もマイナス。結局、2019年に実質賃金が対前年比プラスになったのは9月のみで、それ以外は全滅。
 通年でも、▲0.9%と、ついに90年以降の最低水準(2015年)を下回ってしまいました。
 
19年12月の実質賃金、前年同月比0.9%減 残業代や賞与の減少で
 厚生労働省が7日発表した2019年12月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.9%減少した。残業代やボーナス支払いの減少が響いた。
 名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は56万5779円で横ばいだった。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.4%増、残業代など所定外給与は2.6%減、ボーナスなど特別に支払われた給与は0.2%減だった。
 パートタイム労働者の雇用環境は引き続き堅調だ。時間あたり給与は2.9%増の1180円だった。パートタイム労働者比率は0.30ポイント上昇の31.71%だった。
 同時に発表された19年の実質賃金は前年比0.9%減と、2年ぶりに減少した。』
 
 というわけで、2015年基準(最新)、2010年基準、2002年の基準を連関させた長期の実質賃金の推移をグラフ化しました。
 
【日本の実質賃金の推移(2015年=100)】
 
 日本の実質賃金は、ピーク(97年)から19年までに、▲12.8%、12年からは▲4.4%。これほどまでに「貧困化」した国は、内戦や革命でもやっていない限り、例がないのではないでしょうか。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※「歴史に魅せられて、myと辿る邪馬台国への道(前編)」が視聴可能となりました。

 

 さらに恐ろしいと思うのは、ここまで国民を貧困化させておきながら、政権には「失政の自覚」が全くないことです。

 考えてみれば、不思議でも何でもないのですが、グローバリズムという「主義」は、国民を貧困化させる形で株主利益最大化を目指す政策パッケージです

 具体的には、
1.正規雇用の非正規雇用化。(派遣社員化、フリーランス化など)<名目賃金切り下げ目的
2.労働市場への労働供給拡大(女性の社会進出、高齢者の労働市場への投入、移民受け入れ)<名目賃金切り下げ目的
3.デフレ深刻化による生産性の低下<実質賃金が切り下がる
 の三つになります。

 本来、国民経済(というか資本主義経済)とは技術投資、設備投資、インフラ投資により生産性を高める、つまりは「生産者一人当たりの生産量」を引き上げることで成長する経済モデルです。

 資本を投じるからこそ、資本主義なのです。
 
 ところが、技術投資、設備投資には「リスク」が生じる。さらには、インフラ投資は政府の緊縮財政で不可能。

 さらには、生産性向上は短期の利益にならず、しかも国民の実質賃金を引き上げてしまうため、
「国際競争力(=価格競争力)が低下する!」
 というわけで、我が国ではひたすら国民の実質賃金を切り下げるデフレ化政策が採られてきたのです。
 
 つまりは、橋本政権以降の実質賃金の低迷、国民貧困化は、「政策の成功の証」なのです。国民貧困化のデフレ化政策が、ここまで成功した事例を、わたくしは他に知りません。

 最終的には、日本は働いても、生産性が低すぎるために国民が豊かになれず、
「人々が外国人観光客相手の白タクや民泊、女性は外国人に身体を売って小銭を稼ぐ国」
 に落ちぶれることになります。まさに、発展途上国化です。

 大東亜戦争敗北後、いやそれ以前から、我が国は「投資」により生産性を高め、国民が豊かになる形で経済規模を拡大してきました。それが、1980年代にグローバリズムのトリニティが始まり、97年のデフレ化以降は特に、
「国民が豊かになる経済」
 を破壊することで、一部の(しかも多くは外国人の)株主の利益を最大化する、しかも、
「国民が貧困化する形で、株主利益を最大化する」
 形に構造を改革されてしまったのです。

 しつこいですが、働いて稼いだ所得から徴収される所得税の最高税率が(住民税入れると)55%であるのに対し、上場企業の株式配当金の税率は、どれだけ配当金が多額でも20%って、おかしいだろ、こらぁ!

 別に、所得税の最高税率を下げろとは言わない(これでも下がった)。株式配当金への分離課税を廃止するか、もしくは配当金は税率90%とかにしても一向に構いませんよ、わたくしは。
 
【資本金10億円以上の法人企業の配当金(兆円)の推移】
 
 ちなみに、日本がいかに「株主優先の国」に構造を改革されてしまったのかは、上のグラフを見れば誰にでも一発で分かるでしょ(あえて解説しない)。

 株主ではなく、働く国民が豊かになる国を取り戻す。そのためには、まずは国民が「祖国の構造がいかに歪んでいるのか?」を「データ」で明確に理解する必要があるのです。(三橋経済塾第九期第二回講義では、本件も取り上げます)
 
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