新型コロナウイルスの感染防止のために、国内の全世帯に布マスク2枚を配布することを決定した安倍晋三首相(65)が、4日から不織布マスクを使用するようになった。

 先月末からマスクをしたまま国会に出席するようになった安倍氏は、最近までは配布するものと同様の布マスクを使用していた。だが、この日、首相官邸入りする際に着けていたのは、一般的に使用されているのが最も多い不織布マスクだった。

 布マスクについては、不織布のものよりも繊維の隙間が大きく、大きさ0・1マイクロメートルのウイルスの吸引や飛沫(ひまつ)の排出を防ぐことができないとされる。それに加えて、現金支給などを期待する中で期待外れの政策だったことから、国民からは「税金の無駄遣い」などの批判が噴出。SNS上では「アベノマスク」とやゆする言葉も生まれ、その現象が海外でも報じられていた。

 これまでは、自ら着用することで、その“効果”を示していた安倍氏。だが、不織布マスクを使用するようになったことで、批判の声が上がる可能性も考えられる。

 

 


サザエさん一家に「無理やり」マスクを着けた画像=ブルームバーグ通信の記事から
 

 新型コロナウイルス対策として、安倍晋三首相が全世帯に布製マスクを配布すると発表したところネット上で広く批判されたことについて、複数の欧米主要メディアは2日、「配布計画は裏目に出た」などと報じた。日本は欧米主要国に比べ相対的に感染者数や死者数が少ないが、国際的には感染爆発の懸念が報じられている。今回の「マスク配布騒動」で改めて日本に注目が集まった。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

「アベノマスクに嘲笑」 米ブルームバーグ通信

 米ブルームバーグ通信は「アベノミクスからアベノマスク 日本のマスク計画に嘲笑」との見出しで記事を配信した。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-02/from-abenomics-to-abenomask-japan-mask-plan-meets-with-derision

 この中では、安倍首相が1日、マスク不足に対する国民の心配をなだめようと、約5000万の全世帯に2枚ずつ再利用可能な布マスクを配布すると表明したことを説明。この計画がツイッターなどで「不十分だ」とあざ笑われ、さらに安倍首相の経済政策「アベノミクス」をもじって「アベノマスク」という造語が生まれてツイッターで人気を呼んだと報じている。世界各国が実施している現金給付を、日本でも実施するよう求める声が出ていることにも触れた。

 また、人気アニメ「サザエさん」の7人家族と猫のタマが、2枚のマスクを無理やり着けているパロディーイラストが「特に広く拡散されている」と書いた。一方、安倍首相が発表した計画に対して、「マスクが再利用可能で消毒液が使われるとの思惑が広がり、関連株が買われた」とも伝えた。

 

「布マスク配布 日本は最後でないかも」 CNN

 米CNN(電子版)は「配布に月末までかかるため感染拡大を抑止できないと、多くの人が感じている」と報じた。

https://edition.cnn.com/2020/04/02/asia/japan-coronavirus-shinzo-abe-masks-hnk-intl/index.html

 ただ、米国では累積感染者数が24万人超と世界最多になり死者数が6000人を超えており(米ジョンズ・ホプキンズ大まとめ)、医療機関のマスク不足から布製マスクを自作する動きが出ていることにも言及。「日本は布製マスクを配布する最後の国ではないかもしれない」と述べ、状況が悪化した他国でも同様の措置が取られる可能性に触れた。

 米国の保守系テレビFOXニュース(電子版)も、マスク配布計画批判を報道。安倍首相が目と口に2枚のマスクを着けたパロディー画像を紹介し、ツイッターで拡散されているとした。また、日本政府が新型コロナウイルスの検査を制限して感染者数などを操作したのではないか、といった批判が出ていたが、安倍首相は否定していることなども伝えた。

 

「無駄遣い」批判ツイート紹介 仏AFP

マスクを着用して参院決算委員会に臨む安倍晋三首相=国会内で2020年4月1日午前9時53分、竹内幹撮影

 感染者の累積が6万人近くで、死者約5400人に上ったフランス。AFP通信は、感染者が多発したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の内部に入り、感染防御の甘さを告発した神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授が、配布計画について「一晩たっても『夢じゃなかった』」「金の無駄遣い」などとツイートしたことを紹介。安倍首相の発表が1日だったことから、エープリルフールかといぶかしむ人もいたと伝えた。

 また、マスクの医学的な有効性については専門家の間でも評価が分かれるが、日本では人気があり、今回の感染拡大の前も花粉症や風邪のシーズンにはよく使われていた、とも指摘している。

https://www.france24.com/en/20200402-no-masking-the-mockery-japan-two-mask-pledge-ripped-online

 

「総統閣下の怒り」パロディー再生多数 英ロイター報道

 3万4000人以上が累積で感染し、死者数も3000人に近づく英国。英国のロイター通信は、緊急事態宣言を求める声がある中で、安倍首相が布マスクの無料配布を提示して批判を浴びたことで、「首相の危機対処への一部のいらだちが浮き彫りになった」との見方を示した。

https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-japan-masks/on-brink-of-coronavirus-crisis-japan-pm-offers-masks-gets-social-media-roasting-idUSKBN21K0CQ

 また、ツイッター上ではヒトラーが登場する映画がパロディー化され、「新型コロナウィルス対策『布マスク2枚』に怒りを禁じえなかった総統閣下」というタイトルの動画で安倍首相を批判していると紹介。この動画が2日朝までに100万回再生され、共産党幹部の小池晃参院議員もリツイートしたと報じた。

 

 

 

“アベノマスク”に世界が失笑 米メディア「エープリルフールの冗談か」

[ 2020年4月4日 05:30 ]

参院本会議で質問を聞く安倍首相
Photo By 共同
 安倍首相が各世帯に布マスクを2枚ずつ配布すると表明したことを巡り、米メディアは2日、日本で「アベノマスク」とやゆされていることを紹介した。安倍氏の支持者からも「エープリルフールの冗談ではないのか」といぶかる見方が出ていると伝えた。
 ブルームバーグ通信は「マスク配布の計画は物笑いの種になっている」などと報じ、CNNテレビ電子版も「さえない政策だと多くの人々が感じている」と指摘した。安倍政権内でも、岸田文雄政調会長が「突然出てきてびっくりした」と違和感を口にした。テレビ朝日「モーニングショー」は、官邸官僚が首相に提案したとの新聞記事を紹介し、元プロ野球選手でタレントの長嶋一茂(54)が「俺もばかだけど、こいつはもっとばか」と切り捨てた。

 

 

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