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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【サイコパス】大阪のコロナ対策のために何も行動していないと辻元清美氏を攻撃して落選させた維新の吉村府知事が「地元で本当に丁寧な仕事をされてきた辻元さんを実はリスペクトしています」

2022年01月05日 | 野党でもゆ党でもなく第2自民党の悪党維新

まさに類は友を呼ぶ


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 当ブログのコメント常連のお一人が、日本維新の会の副代表で大阪府知事である吉村洋文氏が、自らの失政の連続で大阪でコロナ死者が日本最多を更新し続けたのに、記者会見でいつも薄ら笑いを浮かべているのを評して

「サイコパス」

と断じられたときには、それは言い過ぎやろと同調しなかったのですが。

 この記事を読んで最初に思い浮かんだ言葉は、「サイコパス」でした。

 

吉村知事 “宿敵”の辻元清美氏を「実は尊敬している」 地元での丁寧な政治活動に親近感

[ 2022年1月3日 22:05 ] スポニチ

大阪府の吉村洋文知事
Photo By スポニチ

 大阪府の吉村洋文知事(46)が、3日に放送されたMBSテレビ「直撃 池上彰×山里亮太 コロナでどーなる2022」に出演。大阪で争った前衆議院議員の立憲民主党の辻元清美氏(61)について語った。

 この日の番組ではジャーナリスト池上彰氏の直撃取材に答える形で登場。大阪市長の前任者でもある橋下徹氏とは真反対の「敵をつくらない」などをモットーに政治活動してきたことを振り返り、「橋下さんの真似はできないと思ったんです。もちろん政治なので敵はできます。政策でぶつかればいいと思っているんですが、あまり人を嫌いにならないんです」と自己分析。「橋本さんの真似をするのはやめよう。自分らしいやり方で政治を目指そう。できるだけ人と話しながら、どうやったら前に進めるのか。仲間も作りながら」と、政治家としてのポリシーを明かした。

 その上で、池上氏から「辻元清美さんは、どう思いますか」とストレートに質問されると、吉村知事は「政策も違うし、考え方も真っ二つで違いますが、ある意味、尊敬しているんです。ものすごい選挙に強い方。地元から信頼を得ていて、今回は維新が勝ちましたけど、その前は辻元さんがずっと勝ってきている」と本音を明かした。

 辻元氏は10月31日に行われた衆議院選挙で、大阪10区から出馬。維新旋風が吹き荒れた大阪で、最後まで維新に立ち向かったが、最後は敗れた。それでも吉村知事は、辻元氏の力を分析したときに「辻元さんが地元で、本当に丁寧な活動をされて、そして維新の議員がやっていないような街の隅から隅まで活動をされていた。僕は考え方は違うけど、そういったことをされている辻元さんは、実はリスペクトしているんです。政策が違うからいろんな議論ではぶつかりますけど。僕らもちょっと油断すれば、またひっくり返されると思っています」と力を認めて、次回の“戦い”にも警戒していた。

 

 辻元さんを追い落とした2020年秋の衆院総選挙で、吉村氏が辻元さんをどう表現していたかご存じですか?

 それを一番肌身に感じた本人である辻元さんの表現で言えば

「維新の私に対する集中砲火は恐ろしいほどでね。私を中傷するようなことをマイクでがなり立てられたの。

 私、吉村(洋文)知事の応援演説を聞いた。大阪が新型コロナウイルスの感染拡大で大変なとき私は何もやっていなかったかのように断じている。

 そんなことない。ワクチンバス・タクシーの運行のため国交省とかけあったり、大阪に看護師を送る要請なども国政から必死でやって100人以上の方が他府県から助けにも来てくださった。

 それなのに、ひたすら私への憎悪をあおり、有権者の分断を図る。トランプ米大統領に似てるなと思った」。

 

「10区をとれば『完全制覇』という勢いでした。維新は自公政権批判はせず、徹底的に私を攻撃することで、野党が野党を叩くという構図をつくりました。

 鈴木宗男さんは辻元は『頭に虫がわいている』『人でなし』という内容をマイクでがなり、吉村さんからは『辻元は何も仕事していない』などと個人攻撃を受け、他の地域からも維新の府会議員などが何十人も入ってきて駅をジャックされ、何としても10区で私を勝たせまいという力を感じました。

 一方の自民党も安倍元総理や麻生さん、河野太郎さんまで大物が次々応援にきました。

 本来、この選挙で問われるべきだったのはコロナ対策や、公文書改ざんなどを繰り返した自公政権の4年間、そして今後の日本の行く道でした。

 けれど自民党右派と維新に挟み撃ちにされ、戦いにくさもあり、『辻元を国会から追い出すんだ』という勢力に撃ち勝てませんでした」

 

 

 吉村府知事こそが大阪のコロナ死者日本最悪という状況を作ったのに、選挙になると勝つために手段を択ばず、辻元氏に対してコロナについて何もやっていないと批判する。

 同じ口で

『「敵をつくらない」などをモットーに政治活動してきた』

だとか

「辻元さんが地元で、本当に丁寧な活動をされて、そして維新の議員がやっていないような街の隅から隅まで活動をされていた。僕は考え方は違うけど、そういったことをされている辻元さんは、実はリスペクトしているんです。」

とか、よく言えたものだと開いた口がふさがりません。

 のっぺらぼうのサイコパスとはよく言ったものです。

 

この新年の番組でイソジン会見について池上彰氏から問われた吉村府知事

「あれは僕の発表の仕方が間違えていたと思います。発表の仕方がですね。(会見する机の)前にイソジンを並べる必要はなかったと思うんです。そこが、バッと撮られて」

というのですが、反省するところが違うだろ違うだろ!

ろくに実験もしていないのに、ポピヨンヨードでうがいするとコロナが防げると完全なデマを公言して、社会を大混乱させたのが悪いんでしょうが!

会見したこと自体が間違いなんで、会見の仕方の問題じゃないんですよ。

ほんとに頭おかしいです、この人は。

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立憲民主党の「顔」でもあり、野党を代表する女性議員の1人でもあった辻元清美さんが10月の衆議院議員選挙で落選した。大阪の小選挙区19のうち、公明党が当選した4選挙区以外は全て日本維新の会が勝つという「維新旋風」をまともに食らった形で、比例復活もかなわなかった。
 
今回の落選を辻元さんはどう受け止めているのだろうか。11月中旬、大阪の地元で辻元さんにインタビューした。

11月中旬、大阪の辻元さん事務所にて 撮影/浜田敬子

女性議員が10%下回ったことに貢献してしまった…

 「一番つらいのは、女性議員が10%下回ったことに逆の意味で貢献してしまったこと。責任を痛感しています。
女性議員を1人でも増やしたい、若い世代に1人でも多く続いてもらいたい、政治を志している若い女性たちの道を閉ざさないようにと訴え、しんどいけどブルドーザーのように道を切り開かなければ、という思いで政治活動してきました。自民党を粘り強く説得してNPO法や男女共同参画社会基本法を作ったり、男性議員の指定席だった国対委員長を務めたり、『内縁の夫がいる』などのデマや変な合成写真を流す勢力と戦ったり。しかし、ブルドーザーを一度止めなくてはならなくなりました」
 
毎年各国の男女格差を示すジェンダーギャップ指数が発表されるたびに、日本のジェンダー後進国ぶりは議論になるが、中でも深刻なのは政治分野の格差だ。2021年に発表された順位は156カ国中147位と、前年の144位よりさらに後退。大きな要因として衆院議員における女性議員の少なさが挙げられるが、今回の衆院選でさらに女性の比率は低下した。
 
しかも今回は、男女の候補者数はできる限り均等を目指すことを原則とした「候補者男女均等法」が成立して初めての衆院選だった。にもかかわらず、与党を中心に女性候補の数は増えず、候補者に占める女性は17.7%。当選者は9.7%に止まり、前回衆院選の10.1%からも減少した。

 

「女、女と言っているから落ちたんだ」

しかし辻元さんは、選挙戦序盤は手応えを感じていたという。
 
「今回の選挙で反応が良かったのは圧倒的に女性。街頭で演説をしていると、女子高校生がビラを取りに来てくれて『初めての選挙で辻元さんに入れます』と言ってくれたり。
森発言(元五輪組織委員会会長の森喜朗氏による女性が入る会議は長くなる、五輪委の女性理事は『わきまえている』などの一連の女性蔑視発言)の影響もあって、女性たちは『わきまえない』ことが国際基準なんだ、これまで我慢していたことを我慢しなくていいんだと気づいたと思うんです。自民党総裁選に高市(早苗)さん、野田(聖子)さんの2人が出たことも大きかった。
そういう気づきが特に若い女性たちを覚醒させている、みたいな手応えはあったんです」

Photo by Getty Image

辻元さんは今回の選挙戦の大きな争点として、ジェンダー平等を掲げて訴えた。10月23日には立憲民主党の蓮舫参院議員も駆けつけ、JR高槻駅前で「#女性の声が政治を変える」という街頭演説会も開いた。近隣自治体から多くの女性地方議員が集まり、リレートークを展開した。
 
だが、選挙戦が終わった時、男性たちから「女、女と言っているから落ちたんだ」「あんな女の集会をやっているから」などという声を浴びせられた。
 
「そう言われたことは、本当にショックでした。私はいつか女性総理を誕生させたいと思っているので、女性議員を増やしたい、ジェンダー平等を推進することが社会の矛盾を解決すると強く訴えました。
でも、ジェンダー平等という政策はなかなか有権者に届きにくかったし、むしろ反発される感じもあった。世の中は強く、マッチョなものを支持する風潮があるのかと思ったり。選挙戦序盤に感じていた希望が押しつぶされていくような、これまでで一番つらい選挙になりました」

維新は最初から自民より辻元議員を狙い撃ち

辻元さんの選挙区である大阪10区は大阪や京都のベッドタウンである高槻市と島本町で構成される。島本町は町議会の議員が男女半々という「男女同数議会」で知られるが、その島本町では辻元さんは維新、自民の両候補を抑えてトップだった。
 
辻元さんは選挙終盤、「大阪10区は最後の砦」と訴えた。そこには「維新を止める」砦という意味のほか、自分が落選すれば大阪の衆院議員は全員男性になるという思いも込めていた。

一方、維新は最初から敵は自民党候補でなく辻元さんだと狙い撃ちしてきたという。選挙戦の間、維新の松井一郎代表や吉村洋文・大阪府知事などが何度も10区に入った。

 
「10区をとれば『完全制覇』という勢いでした。維新は自公政権批判はせず、徹底的に私を攻撃することで、野党が野党を叩くという構図をつくりました。鈴木宗男さんは辻元は『頭に虫がわいている』『人でなし』という内容をマイクでがなり、吉村さんからは『辻元は何も仕事していない』などと個人攻撃を受け、他の地域からも維新の府会議員などが何十人も入ってきて駅をジャックされ、何としても10区で私を勝たせまいという力を感じました。一方の自民党も安倍元総理や麻生さん、河野太郎さんまで大物が次々応援にきました。

本来、この選挙で問われるべきだったのはコロナ対策や、公文書改ざんなどを繰り返した自公政権の4年間、そして今後の日本の行く道でした。けれど自民党右派と維新に挟み撃ちにされ、戦いにくさもあり、『辻元を国会から追い出すんだ』という勢力に撃ち勝てませんでした」

2021年衆院選では、日本維新の会の候補者たちの応援に抜群の知名度を誇る吉村知事が駆け付けた Photo by Getty Image

 

「野党第1党病」という反省

それでも反省はある。

 

「有権者は与野党伯仲ぐらいを望んでいたと思うんですが、野党第1党として『政権交代』と言わざるを得なかった。民主党政権時代の幻想、私たちは一回政権を担ったという思いを捨て切れなかった。そういう意味で、私たちには『野党第1党病』とも言うべき反省があります」

 

辻元さんは今回の選挙前から女性議員を増やすためには、選挙制度の見直しが必要と訴えていた。いつ解散総選挙があるかわからないという衆議院の小選挙区で戦う過酷さが、女性の立候補を阻んだり、議員活動の継続を困難にしていると痛切に感じているからだ。

 
小選挙区比例代表並立制の小選挙区は女性が不利だと感じています。1年中24時間地元の活動をやっていないと落とされるという恐怖心と戦いながら国会で働く点では男性も一緒ですが、男性議員の場合妻が家事や子育てだけでなく地元周りも受け持つのが従来モデル。多くの女性議員は日常の生活、子育て、介護などをしながら、地元と行き来して議員活動を続けている。(国会での)質問準備などで深夜に帰宅したあと、洗濯機を回しながら、地元に帰るためにスーツケースに着替えを詰めるだけでふらふらです。地元では私も両親と3人暮らしなので、病院のつきそいとか家の掃除洗濯とか……。この差は大きいと感じます。

それでも世襲議員であれば地盤もお金もある。お金があればシッターも雇えますが、お金も地盤もない普通の女性が議員になり、子育てなどをしながら続けるのは本当に厳しい。家族の理解を得るのが大変、という人も多いです

「結婚している=生活サポートがある」とは限らない。それがジェンダーによる差にもなっている Photo by iStock

働き方の過酷さに加えて、有権者などからのハラスメントにも晒される。改正候補者男女均等法では、女性が政治家を目指しやすい環境を整えるために、セクハラ・マタハラ対策を盛り込んだが、それでも政治家が有権者から「1票の力」をちらつかされて嫌がらせを受ける票ハラスメント(票ハラ)は後を絶たない。

女性議員に対する執拗な攻撃・金銭問題

さらに、と辻元さんが挙げたのは、「女性議員に対する執拗な攻撃」だった。
 
政治家の本来の仕事は政策をつくり実現することなのに、国会ではどうしても権力闘争になる。私も国会の前線で安倍政権と戦い、大阪では橋下さん、松井さん、吉村さんらを相手に大阪都構想などを巡って維新とも戦ってきました。
そうやって目立つ女性議員は特にネット上のミソジニーに晒されます。デマ攻撃も含めて、日常的にDVに遭っているような状態で、それが続くと精神的にもきつい。それでも議員は弱気を見せてはダメだと思い、つらさも口になかなかできない。その呪縛からはまだ抜け出せていません」

個人攻撃されるのは女性だけのことではない。しかし、性的な攻撃による票ハラなども多く問題になっている Photo by iStock
 
もう一つの議員へのハードルがお金だ。衆院選後、1日しか活動していないのに、月100万円の文書通信交通滞在費(文通費)が全額支払われたことが明らかになり、文通費の見直し議論に発展した。ただ、「日割りで支払う議論はあってもよいが、何の経済的後ろだてのない議員、特に世襲でない女性議員が活動しようとすると、あのお金がないと難しい。例えば貯金もなく非正規で働く女性であっても、当選した瞬間から国会議員として働けるように、いろんな手当がついている。これを『特権』と攻撃することで、ますますお金持ちの世襲議員しか議員になれなくなるのではないかしら」と辻元さんは言う。

辻元さんは選挙区である高槻市、島本町で年に数回、自身の活動を知らせる国政報告のチラシを全戸に配っている。1回150万円。それとは別に年に2回全国の支持者に対しても活動報告を送っているが、その通信費も1回250万円かかるという。年に数十回の車座集会や、土日と月曜朝の街頭演説と国政報告配布、スタッフが様々な現場を調査するための交通費なども入れると、月100万円を全て議員活動に使っても足らず、要は活動すればするほど持ち出しになる。使ったものには領収書を提出するなど、報告義務を課すことで透明性は確保されると考えている。

 

働き方や金銭的な負担などを少しでも軽減し、政治家を志す女性を増やすためにも、先の選挙制度の見直しに踏み込むべきではないか、と指摘する。
 
「ヨーロッパの選挙制度は比例代表制が基本の国が多い。政党が専門性なども考慮してこういう人を出したいという人を順位づけする。そのほうが政策本位で仕事ができます。その上でクオータ制も必要。数値目標を義務化するか、クオータに近づけたら、政党助成金を多く政党に配分するなどのインセンティブをつくることが必要だと思います」

小選挙区から無所属で出馬した候補者は、NHKの政見放送で公約を語ることもできない Photo by Getty Images
 
 
「辻元さん、諦めないで」

これから辻元さんは、どうしていくのか。

「コロナ対策で実績を挙げたニュージーランドのアーダーン首相は、『共感と参画』を掲げています。ポストコロナ時代は分断を煽る『闘争型』の政治ではなく、全ての人と共感をしようとする『共感型』の政治こそ求められていると思っていて、私も目指してきました。差別されたり不公平感を持ったり、男性に比べると暮らしの中でしんどい経験をしているのは女性の方が多いので、『共感型』政治には向いていると思うんです」

「今も街を歩くと、女性の方たちが寄ってきて『辻元さん、諦めないで』と声をかけてくれます。自分自身と重ねている女性もいるかもしれないと思うと、ここでブルドーザーを止める訳にもいかないのかな。女性議員を増やすためにも、あきらめなければ何度でもチャレンジできるんだ、と体現して見せることは後に続く人たちの勇気につながるかもしれない。今後はひとりの女性としてあの攻撃にさらされると思うとしんどいけど、きっといっしょにあらがってくれる人が出てくると信じています。

落選後に作った名刺。肩書きはなく、再出発への決意を感じさせる 撮影/浜田敬子

 

2021衆院選

落選、辻元清美さん「朝、つらいんよ」 「過信」に超反省モード

お気に入りのラーメン店で笑顔を見せる辻元清美さん=東京都港区で2021年11月3日、幾島健太郎撮影

 「あほやった、私……」。衆院選で議席を失った立憲民主党副代表の辻元清美さん(61)が東京・永田町を去る日、しみじみと反省を口にした。充血した目にむろん悔しさは色濃くにじんでいたが、自身におごりと過信があった、としきりに振り返るのである。いつもと違う「辻元清美」がそこにいた――。

つい口を滑らせた一言 「維新は――」

「とっとと出ていかなあかんから」。3日朝、議員会館の事務所をのぞくと、荷造り作業でバタバタの清美さんがいた。段ボール箱から1冊の文庫本を手に取った。「ほら、これ。『新人類図鑑』やん。筑紫哲也さんが『朝日ジャーナル』で連載していたのよね」。早大の学生でピースボートを主宰していたころは中森明夫さん(アイドル評論家)、秋元康さん(作詞家)らと並ぶ時代の旗手だった。土井たか子さんの引きで衆院選に社民党から立候補し、初当選したのが1996年。秘書給与事件で議員辞職するなど波乱の永田町暮らしだったが、そんな彼女も気づけば還暦過ぎ。たぶん「新人類図鑑」に万感、胸に迫るものがあったのだろう。

<picture>衆院第2議員会館から退去するため、引っ越し作業をする辻元清美さん=東京都千代田区で2021年11月3日、幾島健太郎撮影</picture>拡大

衆院第2議員会館から退去するため、引っ越し作業をする辻元清美さん=東京都千代田区で2021年11月3日、幾島健太郎撮影

 「もうクタクタやわ」。なにせ地元、大阪府高槻市の事務所で敗北会見に臨んだのは投開票翌日、1日未明だった。日本維新の会の勢いはすさまじく、府下では候補者を擁立した15選挙区で全勝、10区の清美さんも元府議の新人、池下卓さん(46)に敗れ、比例復活もならなかった。「明け方、つらいんよ。しんどいんよ。目覚めたとき、ああ、落ちたんやって感じて。これから先、どうしたらええんやろって。でも私が悪い。おごりと過信があったから」。衆院が解散した10月14日、維新について記者団に問われ、つい口を滑らせた。「これは国政選挙。維新はローカル、眼中にない」。相手陣営のプライドを傷つけ、猛反撃を招くことになる。

演壇で「私に魔物が入ってきた」

 おごりと過信――。ひとつはこの発言の直前、11日の衆院本会議で、岸田文雄首相の所信表明演説に対する代表質問に立ったときのこと。「一言一句、推敲(すいこう)し、魂を込めました。森友学園の公文書改ざん問題や、新自由主義からの脱却などについて追及したのよ。よかった、とほめてくれる人もいたけど、演壇に立っていると、自分がすごく力がある人間だと錯覚してしまっていた。魔物が私のなかに入ってきていた。相手は世襲の3世議員といっても新人や、自分とは立法府への思いが違うみたいな気持ち。私、国対委員長もやっていたから、維新は大阪はともかく、国会での仕事ぶりはこっちが上、とたかをくくってもいたんです」

<picture>衆院本会議で質問をする立憲民主党の辻元清美さん(手前)。奥右は岸田文雄首相=国会内で2021年10月11日午後3時8分、竹内幹撮影</picture>拡大

衆院本会議で質問をする立憲民主党の辻元清美さん(手前)。奥右は岸田文雄首相=国会内で2021年10月11日午後3時8分、竹内幹撮影

 もうひとつ話題になったのが選挙終盤、自民党の山崎拓元副総裁が応援演説にやってきたこと。マイクを握ったのは駅のそば、「あほや」というたこ焼き屋の前だった。「私、右から左まで必要とあれば誰とでも仕事をしてきたでしょ。山崎さんは『辻元を失うことは国家の一大事、立場の違う私でもそう思うから、国会に戻してほしい』と訴えてくださった。私のスタートは自社さ政権、山崎さんや亡くなった加藤紘一さんから生きた政治を学んだ。この件では、本当に党派を超えて働いてきたんやな、と肩をたたく人もいれば、『自民党とつながっている』と維新陣営からの攻撃材料になったのも事実でした。リスク覚悟で来てくれた山崎さんのためにも、立法府を守らなければいけなかったのに……。ホンマ、あほやった、私……」

 超反省モード。伏し目がちでしょんぼりしている。大丈夫かいな、と心配していたら「これだけは言わして」。ようやく無念の思いがあふれる。「維新の私に対する集中砲火は恐ろしいほどでね。私を中傷するようなことをマイクでがなり立てられたの。私、吉村(洋文)知事の応援演説を聞いた。大阪が新型コロナウイルスの感染拡大で大変なとき私は何もやっていなかったかのように断じている。そんなことない。ワクチンバス・タクシーの運行のため国交省とかけあったり、大阪に看護師を送る要請なども国政から必死でやって100人以上の方が他府県から助けにも来てくださった。それなのに、ひたすら私への憎悪をあおり、有権者の分断を図る。トランプ米大統領に似てるなと思った」。ただ共産党との蜜月は広範な支持を集めた? 「国民の多くに野党一本化への要望は強かったはずやけど、閣外協力っていうイメージを伝えきれなかったかなあ」

女性議員増「道を作らねばいけないのに…」

 落選が決まって、自民党の野田聖子さんから電話があったらしい。「大変だったねって激励してくれた。同い年やから、仲いいの。野田さん、超党派で女性議員を増やそうとしていたでしょ。総理だって男性の専売特許っておかしいんやから。高市早苗さんと女性2人が自民党の総裁選に立ったとき、そや、私にも責任があるわって自覚したの。政治を志す次に続く女性たちのため、自分はブルドーザーでがーっと道をつくっていかなあかんやんて。市川房枝さんや土井たか子さんがつくってきてくれたように。その私が脱落して……」。ポスト枝野幸男時代の野党リーダーへの期待はあったが、それもかなわない。歯ぎしりが聞こえるようだった。<picture>辻元さんお気に入りのラーメン店「じゃんがら」にはかつて小泉純一郎首相も足を運んでいた=東京都港区で2004年、代表撮影</picture>拡大

辻元さんお気に入りのラーメン店「じゃんがら」にはかつて小泉純一郎首相も足を運んでいた=東京都港区で2004年、代表撮影

 小田実流の「何でも見てやろう」精神が魅力だ。同世代で関西人の私はたまに飲んでは議論し、素顔も見てきた。へこんだとき「へこたれへん」と気丈に振る舞うが、結構、へこたれている。「母が言うねん。落ちただけやんか、命までとられへんからって」。そうつぶやき、いつもの笑顔に戻った。「ラーメン屋、行くで!」。議員会館からほど近い赤坂の「九州じゃんがら」へ急ぐ。「気合を入れたいとき、ここに来るの。あの代表質問の前にもきた」。ラーメンに唐辛子をたっぷり振りかけた。「辛いの好きやねん」。麺をすする姿を見ながら、永田町航海25年がよみがえる。「ソーリ、ソーリ」。小泉純一郎首相に迫ったような国会論戦も聞けなくなるのか……。「有頂天やったわ、あのころ。また高転びしたんやろうなあ、私」

 いささか迷ったが、ずばり問うてみた。清美さん、どうするの、これから? 「まだ心が乱れているのよ。立憲の立て直しも急務だけど、何よりこのまま分断があおられ絆が細れば、社会そのものがもたない。弱り切っている小さな経済も何とかせな。私ね、落選したことで、有権者に気づかせてもらった。辻元、原点に返れって。いまはあほな私が何をすべきか、何ができるか、全身で考えているんです」。このラーメン屋、やや風変わり。壁という壁にパンチのあるイラストと励ましのメッセージが貼られている。<もっと元気だそうよ!>。BGMもアップテンポだ。清美さん、言葉にせずとも、捲土(けんど)重来を期し、エネルギーを注入しているな、と私はにらんだ。見れば、壁にくだんの小泉純一郎さんがラーメンを食べている写真があるではないか。現役のころ、立ち寄ったらしい。「因縁めいてるなあ。アハハ」【鈴木琢磨】

 

 

辻元氏が語る衆院選「敗因総括」と「維新の強さ」

「憎悪」と「対立」の政治土壌が広がっている

 
前衆議院議員、立憲民主党元副代表の辻元清美氏(撮影:松本創)
衆院選から1カ月余り。自民党に絶対安定多数を許し、近畿を中心に日本維新の会に席巻された立憲民主党は泉健太氏を新代表に選び、立て直しを図る。落選していなければ確実に有力候補になっていたであろうこの人は今、どんな心境だろうか。元副代表の辻元清美氏(61)。選挙の約2週間後に語っていた敗因総括と大阪における維新の強さ、そして自身とリベラル勢力の今後とは。

国民感覚とずれていた「野党第一党病」

「選挙区で負けたのは維新の力。比例で復活できなかったのは『野党第一党病』にかかっていたこと」。インタビューの冒頭、辻元清美氏は自らの敗因を端的に総括した。衆院選から約2週間後の11月15日、大阪府高槻市内の事務所。「今日刷り上がったばかり。これが第1号です」と手渡された名刺には、衆議院議員、立憲民主党副代表、同党大阪府連合代表などの肩書がすべてなくなり、名前だけが書かれていた。大阪における維新の強さは後述するとして、まず「野党第一党病」とは何か。

「一つは国民感覚とのずれ。多くの国民はすぐに政権交代ができるとは思っていなかった。望んでいたのは、圧倒的多数の自公政権から与野党伯仲の国会に持っていって、緊張感ある健全な議論ができる政治にしてほしいということだったと思うんですね。しかし立憲民主党は野党第一党であり、私は副代表という立場。政権交代の受け皿になると言わなきゃいけないという気負いがあった。それが有権者から見れば『何言うてんねん』と鼻白み、現実味を感じられなかったんじゃないかと。

もう一つは、新型コロナ禍というパンデミックを体験した人びとの意識や社会構造の変化を捉えきれなかったこと。私たちの掲げる、多様性を大事にしてパブリックの役割を守るというリベラルな考え方は、分厚い中間層がいたときには支持されやすかったのですが、コロナで格差が拡大し、不安や不公平感が広がる中で、それとは逆の維新的な主張──既得権益を指差し、『この人たちは敵だ』と憎悪に近い対立を煽る政治が支持される土壌が生まれているのを感じます。

維新は大阪の(19選挙区中、候補者を擁立した)15選挙区をすべて取り、比例近畿ブロックでは大阪と兵庫で自民党を上回るトップ、他の4府県では自民党に次ぐ2位。全国で計805万票を取り、北海道以外の全ブロックで議席を獲得した。コロナ後の社会に維新という勢力が入り込み、今後も伸びていく可能性があると私は危機感を持っています。

大阪で維新がやってきたのは、公務員バッシングや既得権益攻撃で支持を広げ、『二重行政だ』と病院を潰し検査機関を統廃合した結果、変異株に対応できず多数の死者が出たとも言われる政治です。コロナで公的なことを大事にしようという方向に本来は向かわなきゃいけないのに、逆の方向へと政治が加速し、それに拍手喝采する人たちが増えているように見えます」

立憲民主党が自公批判票の受け皿になれなかった理由

立憲民主党が自公批判票の受け皿になりきれなかった理由の一つに、近年よく言われる「野党は反対ばかり」というイメージや不信感があるかもしれない。今回維新の顔となった吉村洋文・大阪府知事は盛んにこれを言い、辻元氏の地元、大阪10区の街頭では「以前は立憲・辻元支持だったが、反対ばかりだから維新に変えた」という声を筆者も実際に聞いた。

それを意識したのだろう、辻元氏は選挙戦で「国対委員長として81%の法案に賛成し成立させた」と実績や調整力を訴え、終盤には自社さ政権時代から信頼関係を築く山崎拓・元自民党副総裁の応援を受けた。山崎氏の応援は波紋を広げたわりに不発に終わったが、ウイングの広さを示し、「反対一辺倒ではない」と強調する狙いがあった。

2021年10月の総選挙で街頭演説する辻元清美氏(大阪府のJR高槻駅前。撮影:松本創)

「私は総理や与党を厳しく追及してきましたが、それだけじゃない。たとえば安保法制で激しく議論した中谷元・元防衛大臣とはNPO議連で一緒に共同代表を務めていますし、コロナ対策では与野党の協議会で相当細かく詰めて、いろんな政策を実現した。本来の立法府とはそういうもの。対立することもあるけど、『良いことは党を超え賛成。おかしなことには立ち向かう』(辻元氏が選挙で掲げたキャッチフレーズ)です。大阪で医療が逼迫し看護師が足りなくなったときも、私たち立憲が委員会などで質問・提案して派遣に道筋をつけたんです。

そんな実情を知らず、吉村さんをはじめ維新の人たちは『辻元は国会にいて反対ばかり。何も仕事をしていない』と個人攻撃をする。『みなさん知ってますか、辻元はボーナスを200万円ももらってるんです』とかね。いや、それは維新の議員も同じでしょう。相手を貶めて憎悪を煽るのはフェアじゃない。

維新こそ、野党の出す菅総理への不信任決議をはじめ、「反対ばかり」だったんですけどね。大阪では力があるけど、国会では当時11人しかいない自民党の補完勢力で存在感がなかった。だから私は『維新はローカルだ』と言ったわけです。すると、これが猛反発を呼んでしまった」

「維新は大阪だけのローカル政党。眼中にありません」と辻元氏が発言したのは衆院が解散された10月14日。強気の背景には、野党第一党の国対委員長や副代表を務めてきた自負に加え、序盤の選挙区情勢があった。

けれども中盤以降、耳に入る情報はどんどん厳しくなっていった。渡嘉敷(奈緒美)さんの大阪7区が落ちた、左藤(章)さんの大阪2区も落ちた、宗清(皇一)さんの大阪13区も危ない……と、自民の現職が次々と維新にひっくり返されていく。最後の砦が私の10区。維新はここを狙って終盤に集中砲火してきました。10月29日には吉村さんが高槻に張り付き、駅などで大きな演説会を4回やった。最終日の30日には松井(一郎・大阪市長)さんが入った。

私の発言が火を点けた面もあるかもしれませんが、それ以上に『辻元さえ落とせば大阪を完全に制覇できる』という維新の征服欲のようなものを感じた。多様な人たちと議論を交わし、政策の方向性を見いだす本来の民主主義ではなく、数の力で一色に塗り潰してしまえという考え方には危うさを感じます」

筆者は高槻市をはじめ大阪・兵庫で吉村知事の街頭演説を見たが、その圧倒的な人気と動員力は、頻繁なテレビ出演で増幅された面が間違いなくあるだろう。「テレビで吉村さんを見て政治に関心を持った」「今一番勢いのある人。生で見られて嬉しい」と興奮気味に話す人もいた。

ローカルだからこそ支持されてきた維新

しかし、維新の強みはそれ以上に「大阪の政治行政を10年にわたって握ってきた事実」が大きいと感じた。辻元氏の指摘する組織力もそうだが、吉村知事は演説で私立高校無償化、中学校給食の導入と改善、公園の民間委託による整備など──誇大表現もあり、検証は必要だが──市民に身近な「改革実績」をアピールし、「改革で財源を生み出してきた。これを全国に広げる」と訴えていた。

およそ国政選挙の争点と言えないような話でも、聴衆に聞けば「私たちと同じ目線で語ってくれるから、話が具体的でわかりやすい」「言うだけでなく実際にやっている」という反応が多かった。大阪のコロナ死者数の多さを指摘しても、「それはまず国の責任」「政府にはっきり物を言ってくれる」「失敗しても何もしないよりいい」と高評価は揺るがない。加えて、選挙後に話題となった文書通信交通滞在費のように国会議員の特権を指弾する「身を切る改革」が共感を呼ぶ。

「ローカルだから眼中にない」と辻元氏は言ったが、ローカルだからこそ維新は支持されてきた。そして大阪での「実績」をアピールすることで、周辺地域へじわじわと支持を広げている。辻元氏は「国会目線」ゆえに足元の状況を見誤ったのではないか。

自身が「訴えや立ち位置を定めきれなかった」と振り返るように、辻元氏の演説は論点を絞れず抽象的に聞こえた。市民団体のメンバーが「みんなで変えよう、政治を変えよう」と周囲で唱和し、大阪に関してはコロナ対策の不備やカジノ(IR)反対を訴えたが、数千人を集める吉村知事の街宣と比べれば聴衆の差は歴然としていた。結果、従来の「固定客」へ向けた内輪の運動のように映った。

「リベラル支持層が細っているのは、今回の選挙を通じて私も感じています。それはやはり、コロナで命や生活の危機を感じた人たちの不満や不公平感が大きいと思う。アメリカでバイデン大統領の支持率が急落し、トランプ前大統領の人気が再燃していると聞きますが、維新支持が広がる日本もダブって見えます。

維新という政党はかつての大阪府政・市政に対する根深い不満から生まれ、国政においては自公や民主という既成政党への不信で大きくなってきた。今回の41議席という結果は、橋下徹氏と石原慎太郎氏が組んだ2012年の54議席に比べればまだ少なく、どう見ればよいか判断がつかないところもあります。しかし来年の参院選をはじめ、勢いは当分続くでしょう。

メディアの問題も大きい。『身を切る改革』にしても、大阪のコロナ対応にしても、その実態はどうなのか、ほとんど検証されてこなかった。文通費を寄付すると言っても、実際には党や自分の政治団体へ納めているわけでしょう。コロナ報道では昨年のイソジン会見や大阪ワクチンなどが典型ですが、大阪のテレビは吉村さんの言うことを検証もせずに流し、広報番組になっている。権力のチェックという報道の役割をしっかり果たしてほしいですよね」

(以下略)

 

 

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