「省庁の縦割り打破」を掲げる菅義偉首相が、看板政策として位置付ける「デジタル庁」の新設。舵取りを託されるのは、2度目の入閣を果たした平井卓也デジタル担当相(62)だ。その平井氏が代表を務める政党支部が、自身の母親から相場より安い価格で事務所を借り、事実上の寄付を受けている疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。

ワニ動画で有名になった平井大臣 ©共同通信社

 問題の支部は、平井氏が代表を務める「自由民主党香川県第一選挙区支部」。政治資金収支報告書によれば、同支部は2014年から3年間にわたって、平井氏の母・温子氏個人に「家賃代」として年120万円を支出している。ただ、2017年は家賃の支出がなく、2018年は家賃を100万円に減額していた(2019年は未公表)。

 香川県第一支部が事務所を構えるのは、香川県高松市の二階建ての建物。しかし、同支部以外に、他の企業や団体などが入居している形跡はなく、一棟まるまる同支部が使用していると見られる。

 
母・温子氏への家賃支払い

 周辺の家賃相場について、地元の不動産業者が語る。

「政党支部があるエリアは、高松市の官公庁街にあたります。なかでも平井氏の事務所は大通りに面した一角にあるので、条件が非常に良い。適正賃料は月に75万円から120万円ほどでしょう」

 つまり、通常であれば月100万円、年で1200万円前後の賃料が求められる建物を、年100万円、相場の9割引きという破格の値段で母親から提供してもらっていることになる。

「エヴァンゲリオン」(碇ゲンドウ)のコスプレ(平井氏のツイッターより)

 政治資金規正法に詳しい神戸学院大学教授の上脇博之氏が指摘する。

「適正価格分との差額、年約1000万円は、政治資金規正法上の寄付にあたり、収支報告書に記載義務が生じる。2017年分の家賃を記載していない点と合わせて、政治資金規正法の不記載に抵触する可能性があります」