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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【#憲法記念日】ロシアとイスラエルのせいで世界の軍事費が増加している現在だからこそ、日本国憲法9条の戦争放棄と武力不保持は国際社会に燦然と輝く。岸田政権の大軍拡は東アジアの安全保障環境を悪化させる。

2024年05月02日 | 日本国憲法の先進性

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 明日2024年5月3日は憲法記念日ですね。

 今日はまず、憲法9条について書きたいと思います。

 世界的に権威のあるスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2024年4月22日、2023年の世界の軍事費(一部推計)が前年比で実質6.8%増加し、総額2兆4430億ドル(約378兆円)だったと発表しました。

 想像もつかないような莫大な金額。日本の一年間の国家予算の3倍以上。

 そんな人類の共通財産である世界の富が貧困や差別など社会の矛盾を解決するためではなく、何も生み出さないどころか人殺しの道具やそれに関連する費用に使われてしまっていることにあらためて愕然とします。

 SIPRIは「前例のない軍事費の増加は平和と安全保障環境の悪化を反映している」としていますが、このまま世界の軍拡が続けば、それがまた平和と安全保障環境を悪化させるという悪循環になります。

国際人道法違反のクラスター爆弾使用に続いて、化学兵器の使用まで明らかになったロシア軍。

ロシア軍がウクライナでクラスター弾を大量に使用し、2022年の世界のクラスター弾死傷者が前年の8倍に。しかしプーチン大統領は国定教科書を刊行して侵略戦争を正当化。ロシアはもはや戦前の大日本帝国だ。

 

本来はこの子たちを助けるために使われるべきお金だ。

イスラエル軍の無差別攻撃で3万人以上のパレスチナ人が死亡。ガザ地区で飢餓が発生して子どもたちが死亡。食料を求めて集まった民衆を100人以上射殺。ネタニヤフ政権がやっていることはまさにジェノサイドだ。

 

 

 この世界の軍事費は9年連続で増加し、統計を取り始めた1988年以降で過去最高になったということです。  

 同研究所の報告書によると、上位は米国、中国、ロシア、インド、サウジアラビアで、5カ国の合計が世界全体の61%を占め、ロシアに侵略されているウクライナも8位に入りました。

 そして、上位10カ国の軍事費はいずれも前年から増加しているということです。

 ウクライナを侵略しているロシアが軍事費を増大させ、ロシアを援助している中国とインドも軍事費を拡大。

 かたや侵略されているウクライナとそれを援助している米国も軍事費を増大。

 欧州を中心として世界を震撼させているプーチン政権のウクライナ侵略がいかに罪深いかがわかろうというものです。

侵略されているウクライナへの軍事支援はともかく、ガザでジェノサイドを展開しているイスラエル軍に軍事支援までしているアメリカ合衆国のこちらの予算を正当化する余地はない。
イスラエル軍のガザ侵攻について「民間人の死傷者数が多過ぎる」と国連安保理での停戦決議に拒否権を使えなくなったバイデン米政権が、裏ではイスラエルへの戦闘機25機や2300発以上の爆弾の売却を承認した偽善
 

 

 そもそも日本国憲法に戦争放棄の9条が規定されたのは、大日本帝国が世界相手に侵略戦争を起こした反省の上に立ったものです。

 だから、戦争はダメ、侵略戦争はなおさら絶対にダメというのが憲法9条の趣旨です。

 原則として侵略戦争だけを否定している国連憲章が今はまだ国際法の世界標準ですが、日本国憲法はさらにそのずっと先を行っています。

 ですから、ロシアが侵略していて、ウクライナは侵略されているのに、戦争当事者であるからロシアもウクライナもどっちもどっちだなどという理屈は、国連憲章はもとより、日本国憲法9条の制度趣旨からもあり得ません。

ウクライナ戦争「どっちもどっち」論には道理がないとする日本共産党の立場は至当。侵略しているロシアの行為の違法性こそ著しく重大。そこから議論を始めない橋下氏らがロシア擁護派とされるのは当然だ。

 

 

 ところが、岸田政権はそんなウクライナ戦争を軍拡のために悪用しています。

 日本は岸田政権の下で軍事費のGDP比2倍増を目標に掲げ、2022年から2023年にかけて世界の平均増加率を大きく上回る11%増して日本の軍事費は8兆円近い502億ドルにまでなりました。

(それでも世界の軍事費ランキングでの日本の順位はウクライナが8位に入ったため前年の9位から10位に一つ下がっています)

 また、岸田政権は日本国憲法に反して反撃能力=敵基地攻撃能力=先制攻撃能力まで具備しようとしています。

 さらに殺傷兵器の輸出も始めようとしています。

 では、日本を取り巻く安全保障環境が悪化しているのか、また軍備拡大が日本を安全にするのかといえば、それはNOです。

 まず、ロシアがウクライナで2年以上戦っても兵士と武器を失うばかりで膠着状態にある以上、ロシア軍がアジアで何か事を起こせるわけがなく、ロシア一国をとっても日本の安全度はむしろ増しているのは明らかです。

 さらに中国や北朝鮮はどうかと言えば、少なくとも日本が軍拡を始める以前よりも脅威が増しているという事情はありません。

 そして他方で日本が少々軍拡しても中国に軍事力で対抗できるわけもないし、いったん東アジアで戦争が始まったらウクライナ戦争のように泥沼化するのは必至なのですから、日本は自国の安全のためにこれまで以上に憲法9条の精神に則った平和外交、調停外交を進めるのが正しいのです。

 つまり日本の軍拡は、日米産軍複合体が大儲けするための血税の無駄使いでしかありません。

【2022年回顧1】ウクライナ戦争の教訓は軍備では戦争を防げず戦争が始まったら停戦は至難という事実。日本の最高の安全保障戦略は先制攻撃能力による抑止ではなく、憲法9条による平和外交での緊張緩和だ。

 

 

 さて、共同通信社が5月1日、憲法記念日の5月3日を前に憲法に関する郵送方式の世論調査結果をまとめましたが、岸田文雄首相が9月までの自民党総裁任期中に意欲を示す憲法改正の国会議論に関し

「急ぐ必要がある」は33%

「急ぐ必要はない」は65%

と約2倍の差がつきました。

 また、改憲の進め方は「慎重な政党も含めた幅広い合意形成を優先するべきだ」が72%で、「前向きな政党で条文案の作成に入るべきだ」の24%のちょうど3倍になっています。

 9条改正の必要性は「ある」51%、「ない」46%と賛否が拮抗していますが、それも含めて改憲を急ぐ必要はないというのが市民の意見であり、しかも慎重で幅広い合意形成を大半の日本の主権者は求めています。

 なんと改憲に前のめりな自民と日本維新の会を支持する層でも「急ぐ必要がある」との回答はいずれも46%と半数に届かなかったのだそうです。

 このように、日本に暮らす市民は意外なほど冷静です。

 いま、NATO諸国がウクライナに軍事支援することは、ロシア軍にウクライナ市民が蹂躙されずジェノサイドされないようにするために必要なことではありますが、それは「必要悪」の出捐です。

 ウクライナ戦争後、そしてガザ侵攻終結後は、世界がもう一度戦争違法化と軍縮の道を歩まなければなりません。

 日本がその先頭に立つためには憲法9条を守り抜くだけではなく、憲法9条に従いウクライナには非軍事的な人道支援のみに徹するべきです。

 そして、「新しい戦後」を見通して、ロシアに対してもイスラエルに対しても国際人道法を徹底的に順守させる国際世論の先頭に今から立つべきなのです。

爆増しているイスラエルの軍事費はすべてパレスチナ人殺戮に使われている。

イスラエル軍がシリアのイラン大使館を空爆して挑発。ガザで支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」のスタッフ7人を「誤爆」で殺戮。ロシア軍とは違うとイスラエルの大阪万博参加を認める岸田政権は愚の骨頂だ

 

 

軍事依存経済

しんぶん赤旗経済部 | 2016/9/17

 

私たちは黙らない!

平和を求め軍拡を許さない女たちの会 関西     | 2023/5/2
 
 

戦争放棄、ましてや侵略戦争をや。

自衛戦争をも否定している憲法9条を戴く日本が、まして侵略戦争をしているロシア政府の行動を容認するなどあり得ません。

しかし、だからといって、日本がウクライナ戦争に欧米諸国と同じ軍事的関与をすることは憲法9条に反するからできないだけではなく、「戦後」の国際社会に日本らしい平和的な貢献をするうえでも絶対にしてはならないのです。

そして、そういう徹底した平和主義が日本の安全保障にも資するのです。

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2024年4月24日 08時03分 東京新聞
 
 世界の軍事費が過去最高を更新した。ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫が反映された。軍備拡張の流れを断ち、地球温暖化など共通の課題にこそ国際社会が協力して取り組むべきだ。
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表した2023年の報告書によると、世界の軍事支出総額は前年比6・8%増の2兆4430億ドル(約378兆円)。比較できる1988年以降の最高額だ。
 各国の軍事支出=表=を比較するとロシアは前年比24%増、ウクライナは同51%の急増で、軍事費は政府支出総額の58%を占める。ガザへの攻撃を続けるイスラエルも前年比で24%増えた。
 80年代の冷戦期をも上回る各国の軍事支出は、多くの市民を死傷させ、数え切れない避難民を生み、街の破壊につながる。
 戦闘地域だけでなくアジアでも軍事費の伸びは著しい。中国の軍事支出増は29年連続で世界最多の米国の3分の1に迫る。中国の脅威は東アジアの軍拡競争を招き、日本は前年比11%、台湾も同11%の防衛・軍事費を積み増した。
 SIPRIの研究員は「軍事力優先は、不安定な地政学と安全保障情勢の中で、行動と反動のスパイラルに陥る危険がある」と指摘する。武力衝突を避けるための軍備増強が、紛争を誘発することは避けなければならない。
 地域紛争でも世界への影響が大きいことは、穀倉地帯のウクライナへの侵攻が世界の食糧危機と物価高騰を、中東情勢の不安定化がエネルギー危機を招いたことを見れば明らかだ。軍拡競争はいずれ偶発的な大規模紛争を起こし、人類の存在をも脅かしかねない。
 東アジア情勢の緊迫化に対応するため、岸田文雄内閣は国内総生産(GDP)比1%程度に抑えてきた防衛費を、関連予算を含めて2%に倍増する方針を決めるなど専守防衛の転換を進める。
 しかし、平和憲法を有する日本の役割は軍拡競争に参加することではなく、国際社会の先頭に立って、軍拡の流れを断ち、平和への道を粘り強く説くことである。

 

 

改憲論議急ぐ必要ない65% 共同通信憲法世論調査

 共同通信社は1日、憲法記念日の5月3日を前に憲法に関する郵送方式の世論調査結果をまとめた。岸田文雄首相が9月までの自民党総裁任期中に意欲を示す憲法改正の国会議論に関し「急ぐ必要がある」は33%にとどまり、「急ぐ必要はない」の65%と差が開いた。改憲の進め方は「慎重な政党も含めた幅広い合意形成を優先するべきだ」が72%で、「前向きな政党で条文案の作成に入るべきだ」の24%を上回った。9条改正の必要性は「ある」51%、「ない」46%と賛否が拮抗した。

 改憲に前向きな自民と日本維新の会を支持する層でも「急ぐ必要がある」との回答はいずれも46%と半数に届かなかった。首相は総裁任期をにらみ議論の加速化を訴えるものの、世論はスピード感よりも幅広い合意形成に力点を置いている実態が明らかになった。

 国民の間で改憲の機運は「高まっている」との回答は「どちらかといえば」と合わせて計31%で、「高まっていない」は「どちらかといえば」を含め計67%だった。

© 一般社団法人共同通信社

 

 

 

9条改正、安保環境に懸念 違憲論解消は少数派

9条改正が必要な理由、9条改正が必要ない理由

 憲法9条改正が必要と回答した人の中で、最も多かった理由は「北朝鮮の核・ミサイルや中国の軍備拡張、ロシアのウクライナ侵攻など安全保障環境の変化」で67%に上った。「今の憲法では自衛隊は憲法違反との指摘がある」を選んだ人は20%と少数派だった。

 「自衛隊違憲論」の解消は、自民党が9条改正を主張する根拠の一つ。岸田文雄首相も改正に意欲を示すが、世論は厳しい国際情勢を懸念する割合の方が多い結果となった。

 必要ないとする理由は「平和主義が崩れる恐れがある」が50%で最多。「他国の戦争に巻き込まれる恐れがある」30%、「今の憲法でも自衛隊は合憲と解釈できる」14%と続いた。

© 一般社団法人共同通信社

 

 

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ロシアの弾圧は非難する癖に自分たちも同様の弾圧をするアメリカ政府 (ロハスな人)
2024-05-02 16:51:09
昨年の10月には学生たちイスラエルへの抗議デモに対して、何人もの富豪(及び政治家たち)が『賛同した学生は雇用しない』と『思想弾圧』それも『シオニスト政権イスラエルの“民族浄化”を支持』する発言をし、アメリカ社会の支配層が『実質テロリスト支持集団』であることがバレてしまいましたね。

今回、『世界中のシオニスト政権イスラエル非難』が強まってなお、『反シオニスト政権イスラエルに対するデモ』を弾圧するアメリカ支配層は『ロシア政府と同類』であり、『ナチス以下のイスラエル』を捨てられないことがはっきりしました。

日本は一刻も早く『頭のおかしいアメリカ支配層』から距離を置いて、『高額かつ、ポンコツなアメリカ製の兵器』購入のための予算倍増を早急に撤回する必要がありますね。

※イスラエルが長年にわたり『悪事を働き続けた』のはご存じの通り、『英米の手厚い支援』があったからなのはご存じの通りです。
 バイデン政権は学生デモを弾圧し、トランプ氏は『デモの鎮圧を称賛』しているのですから、次の大統領選挙は『ショッカー(仮面ライダーの悪役) VS 死ね死ね団(レインボーマンの悪役)』のようなもので、まったく期待できない(両者共倒れになってもらうしかない)状況なのですよね。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240501/k10014437821000.html
☆米ニューヨーク 大学に警察突入 イスラエル抗議のデモを排除
2024年5月1日 NHK

ニューヨーク市警は日本時間の5月1日午前、ニューヨークのコロンビア大学に突入し、イスラエルによるガザ地区への攻撃に抗議して建物の一つを占拠していたデモの参加者らの強制排除に乗り出しました。

ニューヨークにあるコロンビア大学では、学生たちがキャンパス内にテントを張ってイスラエルによるパレスチナのガザ地区への攻撃に抗議するデモを続けてきました。

4月29日には大学側が期限を設けて「退去しない学生は停学処分にする」と通告しましたが、これに反発する参加者の一部が翌日、建物の一つを占拠しました。

https://forbesjapan.com/articles/detail/66629
☆ハーバード学生団体がイスラエル非難声明 富豪ら「署名者は雇わない」と激怒
2023.10.12
Brian Bushard | Forbes Staff

パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへの軍事攻撃について、米ハーバード大学の学生団体が責任は全面的にイスラエルにあるという主旨の声明を出し、米国で物議を醸している。著名投資家のビル・アックマンは10日、声明の主張に強い異議を唱え、賛同した学生は採用したくないとして、氏名の公表を求めた。
憲法記念日だからこそ (津木野宇佐儀)
2024-05-07 01:03:27
憲法記念日は過ぎてしまいましたが…
村野瀬さんのところにも書きましたが、以下の議事録を、法の実務家の宮武さんがどう読んで、どう考えるのかな、と…

1946年の衆議院・憲法改正小委員会の議事録です
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/s210725-s01.htm
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/s210726-s02.htm
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/s210727-s03.htm
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/s210729-s04.htm
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/s210730-s05.htm
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/s210731-s06.htm

お忙しいとは思いますが、是非ご一読を。
(既知でしたらすみません)

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